葬儀をしなくても法律で罰せられることはない。このため、葬儀の4W2H=「Who 誰が」 「When いつ」「Where どこで」「With 誰を、何人を呼んで」「How どのように」「How much いくらで(予算)」により増減することになる。
現下の日本において、生活保護受給者や行旅死亡人(=身元不明の“行き倒れ”人)に対し、地方自治体が受け持つ葬送費用は20万円前後(地域により若干の差がある)。最低限、これだけの金額は必要になると言い換えられるだろう。
必須費用には、安置する場所への“搬送費用”に始まって、遺体を腐敗させないための“ドライアイス処置料”、自宅以外に安置する場合はその“安置保管料”と、“棺”および“白装束”に“骨壷”の代金、安置場所から火葬場まで“霊柩車”での移動費に加え、葬儀社スタッフの“作業人件費”が必要となる。各種手続きを葬儀社へ任せる場合には“役所手続き代行費用”がかかるが、葬儀社の施行プランに含まれている場合がほとんどだ。最後に“火葬料”だが、一般に、利用する火葬場が「公営(故人の居住区内)」→「公営(居住区外)」→「民営」の順に高額となる傾向があり、自治体によっては「居住区内の住民は無料」とする公営の火葬場もある。
「葬儀についてのアンケート調査」(日本消費者協会調べ、2010年発表)によると、「葬儀一式費用」の全国平均値は126万7000円。宗教者へのお礼(お布施)も含めた「葬儀費用の合計額」は199万9000円となっている。
だが、調査時からすでに2年を経て、実際はさらなる低費用化の流れが顕著だ。その理由に、(1)高齢化や地縁・血縁関係の希薄化による葬儀の小規模化、(2)インターネットの普及や各マスメディアによる情報開示と業者間の価格競争、(3)見栄や体裁、しきたりよりも実質を重視する現代人の価値観の変化……などが挙げられるが、背景として葬儀が“一族や地域を交えた公の行事”から、“家族の私事”化した要因が大きい。
このため、昨今の最多層とされる参列者30~50人規模の葬儀では、火葬まで含めた葬儀一式の費用(「宗教者へのお礼」は別途)が70万~120万円である事例が多い。地域や内容によっても異なるが、同等規模なら100万円前後の用意が必要と見込んで問題ないだろう。