老後を安心して送るには高齢者住宅、介護施設、在宅介護サービスをじっくり吟味し、自らが選ぶ時代を迎えている。

ハードが生み出す「介護力」とは

特別養護老人ホームやグループホームを運営する社会福祉法人伸こう福祉会は12年2月、鎌倉・十二所に新しい施設をオープンさせた。2階建ての建物内には、グループホーム18床、小規模多機能型居宅介護、定員10人の小さなデイサービスが運営されている。

独居老人が数多く暮らしている地域で、どうすれば施設に興味をもってもらって訪ねてきてくれるか。同施設の統括施設長を務める原田紀子さんは、「まだ手探りの部分はありますが、楽しくきれいに暮らせる環境をアピールすることに意識を高めています」と語った。

家族の満足と安心を提供するためにも清潔で美しいハードの整備は欠かせない。オーク系の家具、調度品を整え、中庭の空間から差し込んでくる柔らかな光。認知症の高齢者にとっても豊かな住環境は確実に効果がある。引っ込み思案で他人と話せない、と子どもたちが心配していた入居者が、住環境の変化によって社交的な高齢者に変身した事例もあるそうだ。

※写真/社会福祉法人伸こう福祉会が12年2月にオープンさせたグループホーム、小規模デイサービス、小規模多機能型居宅介護を提供する施設。グループホームは(1ユニット9人×2)共同生活を営む入居型。定員10人の小規模デイサービスでは介護サービス、レクリエーションを提供。小規模多機能型居宅介護は住み慣れた地域で在宅での生活継続を支援する。

(和田久士=撮影)
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