星野リゾート

1914年に「星野温泉旅館」がオープン。現在は北海道から沖縄まで多数のリゾート施設の運営を行う。2014年にはバリ島に海外初進出。/創業:1904年 従業員数:約1,750名

◎分業よりもマルチタスク

社長・役員を除き、総支配人を含め、業務ごとの「ユニットディレクター」は、それまでの業務の枠にはとらわれずに、プレゼンテーションを行ったうえでの投票で決まる“立候補制”を採用している。目指すのは、社員がいわれたままに仕事をするのではなく、1人1人が自分で考え、スピーディーに判断し、チャレンジできる組織だ。意志決定、判断に必要な情報は社員全員が共有できる仕組みになっている。

外資に見られる分業による現場運営は生産性では効率的だが、お客様の声が届いているとは限らない。「お客様に喜んでいただくにはこうしたほうがいい」というスタッフの自発的な考えを、的確かつ迅速に施設運営に反映するために同社ではフロントはフロントだけといった分業でなく、ハウスキーピングなどもこなすマルチタスクを採用している。かつて、星野佳路社長は旧来の旅館経営を脱するために、強引なトップダウンの手法を試みて失敗をした。その苦い経験から生まれたのが現場を信頼し、任せる現在の体制だ。

一方で、社長を含む社内のエキスパートが講師を務める「麓村(ろくそん)塾」と呼ばれる「社内ビジネススクール」が2001年からスタートしている。自主参加にもかかわらず、スタッフの旺盛な向上心に後押しされ、年を追うごとに内容も充実。現在では「ビジネス講座」「日本文化講座」「語学講座」の3つのカテゴリー、全30講座で構成され、全国施設で年間100講座以上が実施されている。希望者は自分の志向やキャリアプランに応じて受講する。観光業界をより盛り上げてもらうべく、13年から一般の若者向けに一部の講座を公開している。