楽しい予定の幸福感を高める3つの事前準備
なぜ、こうした心理現象が起こるのか?
その理由は、「これから楽しいことが起こる」と脳が予測した時に、脳内でドーパミン(快楽物質)が分泌されるためです。
これまでの研究によって、実際に何かを体験する瞬間よりも、その実現を待っている時間の方が、多くのドーパミンが分泌されることが明らかになっています。
楽しい予定は、それを待っている時から楽しさが始まっている……というのは、科学的に証明されている考え方なのです。
この心理現象を上手に活用すると、楽しい予定の幸福感をさらに高めることができます。
具体的には、次のような3つの事前準備が効果を高めてくれます。
【事前準備①】十分な準備期間を設ける
楽しみな予定は、当日を迎えるまでの期間が長ければ長いほど幸福感が持続します。
旅行やイベント参加などの予約は、直前にするのではなく、なるべく早く済ませて、意識的に待つ時間を長くすることが有効です。
【事前準備②】複数の予定を用意する
自分が楽しいと思える予定は、単発ではなく、複数の予定を用意すると、その楽しさが重層的に拡大します。
何らかのアクシデントがあっても、複数の予定があれば、落胆を回避できます。
【事前準備③】予定の解像度を上げる
入念な下調べをする、関連する写真を検索してみる、実際に経験した人に話を聞くなど、楽しい予定の解像度を上げて、期待値を高めておけば、その日が来るまでワクワク感を維持することができます。
“誰とグラスを傾けるか”を考える時間は至福
私の趣味で補足説明をすると、ワインの醍醐味は、自分の手元に届いてすぐに飲むことではなく、「このワインをいつ開栓するか?」と思いを巡らせる時間にあります。
世界最高峰のワインと称される『ロマネ・コンティ』には、「ブドウの収穫から50年が経過しなければ、本来の美味しさに到達しない」という伝説的なエピソードがあります。
私は著書の売れ行きが好調だった2022年に、1964年のロマネ・コンティを開栓しましたが、その深い味わいは伝説に違わぬ素晴らしいものでした。
現在、所有している1985年のモノは、すごい当たり年の最高峰ワインといわれていますが、50年熟成となると2035年になりますから、まだ10年近くは待つ必要があります。
その時まで、元気に生きている自分の姿を想像し、「どのような場面で誰とグラスを傾けるか?」を考える時間は、私にとって、何物にも代えがたい最高の楽しみとなっています。

