理由は内臓脂肪の多さ

「おそらくその理由は、肥満――それも内臓脂肪だと考えられています。内臓脂肪は、その名の通り胃や腸などの内臓の周囲に蓄積する脂肪のことです。皮下組織に脂肪が蓄積する皮下脂肪と異なり、一見しただけでは、太っているようには見えません。内臓脂肪が蓄積すると、身体全体的には細いのに、お腹だけはぽっこり出ている……そんな体型になりやすいのです。

この内臓脂肪が多いと、がんの発症率が上がってしまいます。困ったことに、たった数キロ体重が増えただけでも、リスクが上がると言われているので注意が必要です」

内臓脂肪の増加については、男女差もあるという。

「女性よりも男性は内臓脂肪がつきやすい体質になっています。特に40歳以上のデスクワークが多い男性は、注意が必要です。もちろん男性だけでなく、40歳を過ぎたら、すべての人々に大腸がんの検査を年に1度は受けていただきたいですね」

大腸がんを発症しやすくする内臓脂肪。これを撃退する方法はあるのだろうか。

「厚生労働省も推奨しているのですが、有酸素運動によって脂肪を燃焼させることがもっとも効果的だと私も考えています。有酸素運動とは、脂質を酸素の力で燃やしてエネルギーに変え、筋肉を動かす運動のことです。たとえば、ウォーキングやジョギング、水泳などがよく知られた有酸素運動になると思います」

通勤手段を自転車に、駅では階段を使って

効果的な有酸素運動の時間、回数などについても、推奨された基準がある。

「有酸素運動は、1日30分程度を週に5日以上行うとよいとされています。有酸素運動をおこなううえで重要な点として、『一度におこなっても、分けておこなっても、得られる効果がほぼ同じ』というものがあります。したがって、10分ずつ3回にわけて行ってもいいですし、5分ずつ6回でもいいので、その人の生活のペースに合わせて運動を行うことができます。

あくまで目安としてですが、息が弾むくらいの運動強度が必要だと考えられています。心拍数にすると、100〜120bpmくらいでしょう」

忙しく働く現代人にとって、日々のルーティンを有酸素運動に代替できる点もありがたい。たとえば、奥田さんは次のような運動を提案する。

「会社勤めで忙しく、なかなか運動する時間がない人は多いと思います。しかしたとえば、これまで通勤でバスを使っていた場合に、それを自転車に替えるのはどうでしょう。もし片道10分だとすれば、往復で20分は立派な有酸素運動の時間を確保することができます。

あるいは、日常的な階段利用の有用性を示したイギリスの大規模データを用いた研究があります【7】。これは1日に合計50段、階段を上がることで、心臓病に罹患するリスクが下がることを発表したものです。大腸がんの話ではないものの、内臓脂肪の蓄積を防いで動脈硬化にならない身体づくりができるという点では、通じるものがあります」

自転車で通勤
写真=iStock.com/AzmanL
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