「牛乳・ヨーグルト」は週1~2回程度で

だがこれらの事実は、必ずしもネガティブな面だけではないと奥田さんは言う。

「大腸がんの罹患者数増加の原因が食の欧米化によることは、ほぼ間違いがない事実でしょう。しかし裏を返せば、生活習慣を見直すことによって大腸がんにかかりにくくすることが可能であることも意味します」

ではどのような食生活にすれば、大腸がんを遠ざけることができるのか。奥田さんの指摘は具体的だ。

「日本では、1955年から牛肉と、牛乳・乳製品の摂取量が9倍になったといわれています【5】。また、揚げ物の摂取量も当然増えていると考えるのが自然でしょう。実はこれらの食品には、飽和脂肪酸という物質が含まれており、内臓脂肪を増やす働きをします」

健康にいい食品の代表格として牛乳やヨーグルトを食べる人もいると思うが、奥田さんは総合的に勘案したうえで「おすすめできないですね」と話す。

「牛乳やヨーグルトは飽和脂肪酸が豊富に含まれていて、肥満にもなりやすいですし、大腸がんになる可能性も考えられます。

牛乳やヨーグルトが健康的なイメージを持つのは、カルシウムが摂取できるからだと考えられますが、カルシウムは別の食材からでも摂ることが可能です。事実、昔の日本人は現在ほど牛乳やヨーグルトを摂取していなかったはずですが、骨が脆かったという事実はないんです。

牛乳やヨーグルトが好きで食べたい人については摂取することを否定しません。ただ、その場合でも、週に1〜2回程度が適当なのではないかと考えています」

「デスクワーク」で発症率2倍の研究も

食生活のほかに、運動習慣などを含む生活習慣についても焦点をあてたい。現代人は1日の多くの時間を仕事に費やしているが、その仕事について重要な指摘があるのだと奥田さんは言う。

「現代人の多くは、座りっぱなし、つまりデスクワークが生活習慣としてあるため、これが大腸がん発症に大きな影響を与えている可能性が指摘されています。実は、タバコや酒と同等によくない習慣でもあるんです」

もちろん、根拠となるデータも存在する。

「立ち仕事とデスクワークの人を比較して、どの程度大腸がんの発症率が変わるかを調べた研究は多数あります。それらを総合すると、結果にバラツキはあるものの、立ち仕事の人は、デスクワークの人よりも、3〜5割、中には、7割ほど発症率が低かったのです。

また、オーストラリアの研究チームによれば、デスクワークを10年以上続けた人は、そうした仕事についたことがない人とくらべて、S状結腸など大腸の出口側にできるがんのリスクが約2倍になっていました【6】」

デスクワーク
写真=iStock.com/Pekic
デスクワークを10年以上続けた人は、そうした仕事についたことがない人と比べ、大腸の出口側にできるがんのリスクが約2倍という研究も。※写真はイメージです