抑えても消費エネルギーは新幹線の3倍
最後はコストである。
2009年に総工事費が5兆4300億円とした計画では、リニアの維持運営費は年3080億円、設備更新費は年1210億円、合計4290億円の高コストが掛かるとされていた。
品川―名古屋間に約10カ所の変電所を設置する。日経エレクトロニクス2026年5月号では、時速500キロで走行するリニアの消費電力は1列車当たり35MW(メガワット=1MWは1000キロワット)程で、「中規模のデータセンター並みに電力を消費する設備が品川と名古屋間の間を往復するようなものである」と、リニアは大量の電力が必要なことを紹介している。
車両の軽量化や空気抵抗の低減といった工夫によって、リニアは消費エネルギーを新幹線の約3倍に抑えているという。つまり、CO2排出量も新幹線の約3倍になる。いずれにしても1列車当たりの消費エネルギーは非常に大きく、費用が掛かるということである。
リニアは1日平均上下144本運行することを想定している。1日300~400本の東海道新幹線に比べて、運行本数は非常に少ないようだ。1カ所の変電所が動かすのは上下線の常時1列車ずつで、当初の計画よりも列車を多く走らせるには変電所の増設が必要になり、それには費用が大幅に掛かるから難しいようだ。
用地取得85%は大丈夫なのか
JR東海の説明通りにリニアの実用化はすでに完成していたとしても、いちばん問題となるのはトンネル、橋梁などのリニアを走らせるための土台となる工事がまだ完成していないことである。
JR東海によると、2026年3月末時点の工事進捗状況は、品川―名古屋間286キロのうち、契約済み工区延長は約9割、用地取得は約85%、発生土活用先の確定状況は約85%だという。各工区の具体的な工事進捗状況などは説明がなかったが、用地取得がまだ85%程度にとどまっているのは気になるところだ。
前回の記事でも触れたが、何よりも南アルプスルートの最難関と言われる静岡工区のトンネル工事はいまだにスタートしていない。
1日も早く、静岡工区の工事をスタートしなければ、せっかくの超電導リニアの革新技術は宝の持ち腐れになるかもしれない。
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