気づかぬうちに「肺炎予備軍」に
問題は、こうした小さな誤嚥が10年、20年と続くことです。これが原因で気づかぬうちに肺炎予備軍になっていたり、肺の奥にある直径1〜2ミリほどの細気管支に炎症が起きる「誤嚥性気管支炎」になってしまったり……。
さらには、ノドの機能が衰え誤嚥してもムセることができない「不顕性誤嚥」を招き、知らぬ間に「隠れ誤嚥性肺炎」となっていることもありえます。
毎日を健康に過ごしていると、ノドのことを考える機会はあまりありません。しかし、ノドはいってみれば生命を守るインフラ。機能が衰える前にメンテナンスすることで健康寿命を保ち長生きが実現します。
“生命インフラ”のどの役割
ノドの大切な役割は、食べ物や飲み物を飲み込んで胃に送る「嚥下」、酸素を吸い込み二酸化炭素を排出する「呼吸路」、そして、声と言葉を発して他人と意思疎通をする「発声」です。人間の生命に欠かせない3つの機能が、狭いノドの中で常に精密な働きをしているのです。
ノドには、「嚥下」のための食道と、「呼吸」「発声」のための喉頭と気管があります。飲食をしていないとき、呼吸をしているときには、食道の入り口は筋肉によって閉じられ、気管の入り口である喉頭は開いています。
口から食べ物や飲み物が入ると脳に信号が送られ、ノドの筋肉である「喉頭挙上筋群」が反応してノドの防波堤である「喉頭蓋」が喉頭と気管の入口をふさぎます。食道だけに食べ物が流れるようにコントロールするのですが、この動きに要する時間は、なんと約0.5〜0.8秒。無意識に体が動く反射運動です。


