日本の都市計画は発展途上国並み

筆者は常々、東京や大阪の過密ぶりは諸外国に比べても異常だと感じてきた。あそこまで人や建物が密集し、みんなで「暑い、暑い」といっているのは、フィリピンのマニラ、バングラデシュのダッカ、ソマリアのモガデシュ、インドの諸都市のような都市計画が脆弱ないしは存在しない発展途上国での話で、先進国ではあり得ない。

これはドイツやスイスに行くとよくわかる。両国ともヨーロッパで最も国土の多極分散が進んだ国で、行政機関、裁判所、大学、大手企業、国際機関などはすべて国内各地に高度に分散し、国土が無駄なく使われ、都市も密集していない。

たとえばドイツの場合、ボンには国防省、財務省、保険省など、カールスルーエに連邦憲法裁判所と連邦最高裁判所、フランクフルトにドイツ連邦銀行(中央銀行)、ニュルンベルクに連邦雇用庁、ヴィースバーデンに連邦統計局がある。また全国のどの州の主要大学でも均質で高い水準の教育と研究が行われており、ハーバード大学、東京大学、ソウル大学のようなトップ校は存在しない。

大手企業と行政を分散させる伝統的政策

大手企業も、ミュンヘンにBMW、シーメンス、アリアンツ、シュトゥットガルトにメルセデス・ベンツ、ポルシェ、ボッシュ、ウォルフスブルクにフォルクスワーゲン、フランクフルトにドイツ銀行、ルフトハンザ航空、ルートヴィヒスハーフェンにBASF、ノルトライン=ヴェストファーレン州にE.ON、DHLグループ、ドイツテレコム、ヴァルドルフにSAPと、全国に分散していて、東京のような経済首都は存在しない。国際機関は、ボンに国連気候変動枠組条約(UNFCCC)、ハンブルクに国際海洋法裁判所、フランクフルトに欧州中央銀行(ECB)等があり、やはり全国各地に分散している。

ドイツのシュトゥットガルトにあるメルセデス・ベンツ本社
筆者撮影
ドイツのシュトゥットガルトにあるメルセデス・ベンツ社

ドイツは1871年にドイツ帝国として統一されるまで、多数の独立した小王国、公国、自由都市からなり、第二次大戦後に制定されたドイツ連邦共和国基本法(憲法)でも、地域間の格差をなくし、全国で同等の生活条件を保障することが義務付けられ、中央政府は各地方の均衡ある発展を重視する政策を続けている。