車、室外機、人混み…大量の熱源が東京を熱する

2025年の東京の昼間の人口の約62%が勤労者、約11%が学生、その他が27%で、働いている人が圧倒的に多い。こうした人口(特に勤労者人口)の集中によって何が起きているかというと、以下の4つである。

①オフィス街のエアコンなどから出る人工排熱量は、住宅街の5~10倍以上のため、勤労者が一斉にデスクワークや経済活動を行なうと、エアコンの室外機から大量の熱風が大気中に放出される。前記5区の人工排熱は、太陽から降り注ぐ日射エネルギーの3分の1~半分にも相当する膨大なものとなり、酷暑に拍車をかける。

千代田区付近の空撮
写真=iStock.com/Zoey106
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②毎日1000万人を超える人々が移動するため、バス、営業車、トラックなどのエンジンやエアコンから放出される排熱が、アスファルトで覆われた道路上に蓄積し、表面温度が50~60℃に達することもある。鉄道の運行や駅構内の冷房に伴う排熱や人間の体温(代謝温)そのものも前記5区の場合約352万人分が上乗せされるので、無視できない熱源となる。

夜になっても気温が下がらない理由

③ビルのコンクリートやアスファルト道路が、日中太陽熱や人工排熱を極限まで吸収し、それを夜間にじわじわと放出するので、夜になっても気温が下がらず、熱帯夜の原因になる。(ちなみに筆者が住む英国の煉瓦の家も同様で、分厚い煉瓦の壁が日中熱を吸収し、夕方から夜にかけてそれを放出するため、日没後のほうが家の中が暑くなる。)

④大量の勤労者を収容するために密集・林立する高層ビルによって、熱が上空に逃げにくく、風(特に海からの風)も遮られて入ってこなくなり、一帯に暑さを閉じ込めてしまう。

かくして人口とオフィス街と高層ビルが増えれば増えるほど、東京(や大阪)は、巨大なヒートアイランド(蓄熱体)と化す。このことは数字で示すまでもなく、実際にその場にいれば、肌で実感できるはずだ。