だから地方にいても一流企業に就職できる

こうした機能分散のおかげで、ドイツには人口が100万人以上の都市は、ベルリン(約368万人)、ハンブルク(約186万人)、ミュンヘン(約150万人)、ケルン(約102万人)の4つしかない。第5位のフランクフルトは約75万人、第6位のデュッセルドルフは約61万人である。

どこの町にいても国内トップクラスの質の大学があり、一流の就職口があるので、東京のような一極集中や過密化は起きず、ヒートアイランド現象とも無縁である。

スイスも同様で、行政機関や大学が、特定の都市に一極集中せず、国全体に意図的に分散されている。人口が多い上位5都市を見ても、チューリヒ(約44万人)、ジュネーブ(約21万人)、バーゼル(約18万人)、ローザンヌ(約15万人)、ベルン(約14万人)と、皆小~中規模で、街は空間や自然が豊かで、非常に住みやすい。

それなのに所得は日本人の1.7倍…

先月、ミュンヘンに行ったが、空港に向けて飛行機が降下を開始すると、眼下に薄茶、茶、薄緑、緑の色のパッチワークのような畑が広がり、濃緑色の林が点在し、土地が無駄なく使われているのが分かる。ミュンヘン空港は、アフリカのジンバブエの空港のように、広々とした畑と林の真ん中にあり、1972年に五輪も開催されたドイツを代表する都市の空港とは思えず、国土の多極分散を実感させる。

ミュンヘン着陸前の機内から見た風景
筆者撮影
ミュンヘン着陸前の機内から見た風景

ミュンヘン市内も公園や空間が多く、朝や夕方は交差点のところに自転車通勤をする人たちの列ができる。2004年に行なわれた住民投票で、市のシンボルであるフラウエン(聖母)教会の高さ100mの鐘楼以上の高層建築を建てるのが禁止されたこともあり、高層ビルは存在せず、建物はだいたい5~8階建てで、10階建て以上のものはほとんどない。

フラウエン教会の鐘楼から見たミュンヘン中心部の街並み
筆者撮影
フラウエン教会の鐘楼から見たミュンヘン中心部の街並み

そのためドイツでは年収に比して不動産価格も全般的に安い(ドイツ人の平均年収は日本人のおよそ1.7倍)。一番高いミュンヘンでは近年不動産価格が高騰しているが、それでも70平方メートル程度の新築マンションだと(日本円換算で)1億4552万円(中古1億1121万円)、首都ベルリンで1億749万円(同7165万円)、全国平均では7359万円(同4574万円)といったところだ。住宅地は空間や緑が多く、環境の良さは日本とは比べものにならない。