保守分裂選挙が残した大きなしこり

遠因として、高市早苗さんがお膝元・自民党奈良県連の代表として23年、奈良県知事選で総務相時代の高市さんの総務大臣秘書官で手駒であった平木省さん(総務自治→現・静岡県副知事)を奈良県知事選に出馬させるにあたり、現職知事だった荒井正吾さん(海上保安庁長官→自民党参議院議員)と退陣の握りもなく平木さんを出馬強行させてしまいます。

その結果、荒井さんと平木さんが保守分裂の知事選になってしまい、一本化していれば問題なく勝っていたところを日本維新の会・山下真さんに負けてしまいます。その間、創価学会ともビッグにこじれるわけですが、この荒井元知事を支えたのが財務省から送られていた一松旬さんだったわけで、実際に消費税減税を反対していただろうことも踏まえて考えると、綱引きがあったんだろうなあと思うわけです。

実務を回せる人材が抜けた影響

もちろん、東京税関長というポスト自体が格下なわけではありません。過去には主計局次長から東京税関長を経て事務次官まで上がった例もあります。ただ「昭和の3大バカ査定」で自民党の反発を買った田谷広明さんが飛ばされたのも東京税関長で、要は「党にきらわれたエリートの待機ポスト」という顔も持っている場所です。今回それが、食料品消費税1%をめぐる政権と財務省の綱引きの直後に発令されたことになるわけです。読み方は自ずと決まってきます。

なお、高橋洋一さんあたりは大喜びしているようですが、私は減税の是非とは別に、財源設計の実務を回せる人間を、このタイミングで本丸から抜いた影響のほうが気になります。いま詰めなきゃいけない調整事項の量が尋常じゃないので非常に困ったことだなあと思います。どうするんすかね?

当たり前ですが、閣僚人事のほうも動くと見られます。内閣改造は9月上旬と報じられていますが、支持率が落ちている以上、状況によっては前倒しの可能性も指摘されています。

で、総務大臣・林芳正さんの交代はほぼ確実と見られているんですが、ここは「更迭」ではなく本人が来年の総裁選出馬を視野に閣外に出たがっている、という報じられ方です(週刊新潮)。このあたり、ねっとりしているのでよくわかりません。

林芳正総務大臣(左)
林芳正総務大臣(左)(写真=首相官邸/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons