岸田政権時と同じスキームの浮上

そして、8月10日から11日にかけて、読売新聞などが、地方の減収を原則として国が穴埋めする方向で、政府が検討に入ったと報じました。政府高官の「国の判断による減税であり、補填は避けて通れない」という言葉つきです。まあ、筋論としてはそうですね。

手段としては地方特例交付金が浮上していて、これは「増税メガネ」とかいう根拠なき批判にブチ切れてガンギマリになった岸田文雄さんの手による、1人4万円定額減税の補填でも使われた枠組みです。ガソリン税の旧暫定税率廃止でも、2026年度の地方減収分は地方特例交付金で全額補填することになっています。

ただし穴埋めする国庫側負担が満額になるかどうかは別問題です。時事通信は8月5日の時点で、国民会議の中間取りまとめに「地方の財政運営に支障が生じないよう、適切に対応する」と明記されたものの、減収規模が大きいため「現時点では100%穴埋めできるのか分からない」と気をもむ政府関係者もいる、と伝えています。ここが一番の勘所です。

前例のあるスキームは用意されている、方向感も出た、しかし規模が前例と桁違いなので満額の保証がない。城内実さん、特例公債(=赤字国債)に頼らず「財源は難しくない」とおっしゃったのはどこにいきましたか?

ようやく解消した負債の再来

満額でなかった場合、何が起きるか。交付税特会の原資が地方財政計画上の所要額に届かなければ、その年の交付額自体を減らし、不足分を臨時財政対策債という地方の借金で埋める、という制度が用意されています。令和8年(2026年)度予算では臨財債の発行が2年連続でゼロになり、償還基金まで新設したばかりです。制度創設から24年目にしてようやく解消したものを、また開けるのか。開ければ市場は当然、地方債の発行環境も含めて反応します。

で、このカラクリは実質的には国が払うべき交付税の身代わりであり、返済のお金は後から国が交付税で全額面倒を見ることになります。

つまり、国は特例公債を発行しないけど、地方が臨財債(=地方債=赤字を埋める借金)を発行し、それを国が面倒を見る、となれば、発行元が国か道府県か自治体かは別として特例公債を発行しているのと変わらない構造になってしまいます。なんでこんなのを大真面目に偉い人たちが検討しているのか意味がわかりませんが、本当に真顔で話し合ってるので割と大変なことだなと思います。