胸を張って、ボディーバッグを使えばいい

ただ、このコラムの冒頭で話題にした「休日のイオンにボディーバッグ」は、そういった犯罪とは、直接のかかわりはない。そんな格好をしているだけならば、なるほど「だらしない」のかもしれないけれども、「有害」ではない。少なくとも、その格好だけを理由に「有害」認定はできない。ただの「無害さ」そのものではないか。「無害」でありさえすれば、その認定基準はそう厳しくないのではないか。

メンズレザースリングバッグ
写真=iStock.com/Petr Smagin
※写真はイメージです

なるほど、さきほど挙げた「清潔感」には注意しなければならない。必要以上にゴテゴテした身なりをすべきではないし、いつまでも若者のつもりでは恥ずかしい。

逆に言えば、(白髪の)鼻毛が出ていないか、とか、服がヨレヨレすぎないか、といった最低限の配慮は持っておきさえすれば、気にしすぎる必要はない。これまで気にしすぎてきた振る舞い自体は、実はまっとうな大人らしさのあらわれだったのではないか。

「無害」であろうとして、過剰なまでに気を遣う社会は、犯罪の防止の点では、理にかなっている。けれども、その理屈が、無関係な中年男性まで過剰に縮こまらせているのなら、それもまた社会が抱える別のコストと言わざるを得ない。

正確に言えば、中年男性だけが気を遣い過ぎているのではない。そうではなく、「無害」の証明を求められる、そんな規範が過剰なまでに働いているのではないか。

氷河期を生き延び、中年になっても割を食い続けている私たちが、休日のイオンモールでまで、誰かの視線を恐れる必要はない。今週末も、胸を張って、いつものボディーバッグを斜めがけして、雑踏へ出かければいい。その無頓着な平穏のなかにこそ、私たちなりの「大丈夫」があるのではないか。

(初公開日:2026年7月4日)

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