迷惑をかけてもいい"家族"の作り方

政府では一人暮らしの高齢者の増加を踏まえて、頼れる身寄りのない高齢者については、金銭管理や福祉サービス利用などの日常生活、入院・入所手続き、葬儀・家財処分などの死後事務を支援する新事業を含む社会福祉法の一部改正案を2026年4月、国会に提出しました。家族任せではどうにもならないことを、国もようやく認めたということでしょう。

家族やまわりの人に迷惑をかけたくないから、長生きしたくない。それならば、迷惑をかけてもいい人を“家族”にすれば、長生きしてもいいのでは?

私は近頃よくこう言うのですが、すると「迷惑をかけてもいい人なんているの?」という問いが返ってきます。もちろん迷惑の内容によりますが、“迷惑”が、身体が不自由になったり認知症になったりして世話をしてもらうことを指すのであれば、自治体のケースワーカーや社会福祉協議会のソーシャルワーカー、介護・医療職員などの専門家がいます。

車椅子に乗った年配の女性の手を握り、優しく話しかける介護者
写真=iStock.com/kokouu
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知られざる高齢者の相談窓口

ただし先ほど述べたように、彼らは労働として人の支援をしているのであり、職務の範囲を超えた役割まで担わせるわけにはいきません。しかし職務の範囲内ならば迷惑をかけてもいい、すなわち支援をしてもらっていいのです。

「当たり前じゃないか」と、思いましたか? 実はそうでもないのです。たとえば、各自治体には中学校区に一つずつ「地域包括支援センター」があり、高齢者のさまざまな相談に乗ったり、専門家を紹介してくれたりするのですが、それがほとんど知られていないのです。自治体によって「高齢者相談センター」とか「安心すこやかセンター」などと独自の名称をつけているせいかもしれませんが、まずは困ったときに相談できる窓口があることを知っていれば、「家族に迷惑をかけられない」と、悶々もんもんとせずに済むかもしれません。

“家族”の概念を変えることもまた、迷惑をかけてもいい人を家族にする一つの方法です。たとえばドイツでは、介護は労働と位置づけられているため、家族や隣人、友人などが介護をしている場合にも、現金で手当が支給されます。日本では、家族による介護は労働ではなく相互扶助と位置づけられているため、対価は支払われません。