独自の戦争論の根底にある宗教観

石原の行動を解く鍵は「世界最終戦争論」だろう。彼が1920年代から温めていた巨大な仮説だ。

戦争史を徹底的に研究した石原は、こう予測した――西洋文明の中心は、欧州大戦のあとアメリカに移る。次に来るのは日米がぶつかる「人類最後の大戦争」で、それは飛行機による殲滅戦になる――。この予測は1940年に『世界最終戦論』として刊行され、ベストセラーになる。そして、その翌年に現実の日米開戦を迎えたことで、後世に「予言的」とも評されることになった。もっとも本人の想定では、最終戦争は数十年も先の話だったので予言が当たったとは厳密には言えないのだが。

石原莞爾 述 ほか『世界最終戦論』,立命館出版部,昭和15.9.
石原莞爾 述 ほか『世界最終戦論』、立命館出版部、昭和15.9. 国立国会図書館デジタルコレクション(参照 2026-08-10)

興味深いのは、石原のこの構想の土台に日蓮の予言への信仰があることだ。