自撮りは「左顔を斜め上」からが正解

ところで、先ほどみなさんにもセルフィーを撮るときの角度についてお尋ねしましたが、どの角度だったでしょうか。もし、左顔を斜め上から撮っていたとすれば、それはシュナイダーらの研究で見いだされた「もっとも魅力的な角度」だったということになります。

多くの人は、セルフィーを撮るときにいろいろな角度から試してみて、自分が一番魅力的に見える角度を意識的・無意識的に把握して、その角度から撮っていることと思います。

屋外でスマートフォンを持つ女性
写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです

そのため、多くの人のセルフィーは次第に「左斜め上」の角度に向かって収束していくのです。日本で大学生にこの課題をやらせると、女性だとだいたい7割くらいの人がこの角度からセルフィーを撮っていることがわかります。

そうすると、世の中にあるセルフィーはこの角度が多いということになりますが、本当でしょうか。

世界中のセルフィー合計3200枚を分析

ソランゾとブルーノは、インスタグラムのセルフィーを大量に集めて、それが上から撮られているか、正面から撮られているか、下から撮られているかを分析しました(※2)。その結果、女性は全体の49.3%が上から撮られていることがわかりました。

男性は正面から撮られていることが一番多かったものの、それ以外のうち61.8%が上から撮られていました。

また、ブルーノらは、2013年12月4日から12日にかけて世界中の都市(ニューヨーク、サンパウロ、ベルリン、モスクワ、バンコク)で撮られたセルフィーを各都市640枚ずつ、合計3200枚収集して、それが撮られている角度について分析しました(※3)

その結果、通常モードで撮られた写真は右顔のものよりも左顔のものが多く、ミラーモード(左右反転)で撮られた写真は右顔(つまり実際は左顔)のものが多いことがわかりました。

なぜ「左顔」は魅力的なのか

そもそもなぜ、この角度が一番魅力的に見えるのでしょうか。まず、上からの角度が魅力的に見える理由は幼型(ネオテニー)効果といわれるものです。

とくに女性の場合、幼い特徴を持っているほうが生物学的に生殖に有利なことが多いために、魅力的に感じられるのです。

男性の場合には、幼型効果で魅力が高まることもあるのですが、下から撮影した場合も、あごが強調されて成熟と力強さの印象が高まるために、幼型効果は女性に比べれば弱くなる傾向にあります。

では、左顔はなぜ魅力的なのでしょうか。じつは脳の働きと関連しています。私たちの脳は左脳(左半球)と右脳(右半球)では異なった認知処理をしていることがわかっています。これを大脳半球機能差といいます。