中国が南太平洋へ向けて核搭載可能な弾道ミサイルの発射実験を行ったことを受け、オーストラリアやニュージーランド、日本など米国の同盟国から批判が相次いでいる。一方、専門家の間では、今回の発射は核抑止力を維持するための通常の試験との見方も出ており、その政治的意味を巡って評価が分かれている。
太平洋地域の米国の同盟国は7月7日、中国が核搭載可能なミサイルの発射実験を行ったことを相次いで非難した。潜水艦から発射されたミサイルは模擬弾頭を搭載しており、発射直前に通知が行われた後、南太平洋の公海に着弾した。
オーストラリアのペニー・ウォン外相は、この実験について「地域を不安定化させる」と批判し、中国の軍備拡張は「透明性に欠け、その意図について安心できる説明がない」と述べた。
ニュージーランドのウィンストン・ピーターズ外相も、この大陸間射程の弾道ミサイル発射を「歓迎できず、懸念すべき動きだ」と述べた。
ピーターズは、ミサイルは核爆発実験を禁止した1986年のラロトンガ条約が設けた南太平洋非核地帯に着弾したと述べた。中国は1987年に条約の議定書に署名し、1988年に批准した。
「太平洋の近隣諸国と同様、われわれは中国が南太平洋をミサイル能力の試験場として利用することを望んでいない」とピーターズは述べた。
日本の高市早苗首相の事務所は、中国の軍事活動の活発化に重大な懸念を表明するとともに、在中国日本大使館が中国政府に対し、今回の発射実験を見直すよう求めた。
オーストラリア、ニュージーランド、日本の3カ国はいずれも、中国軍が北京時間7日午後0時1分に実施したとする発射について、通知を受けたのは数時間前だったとしている。
脅かされる豪の領土と安全保障
中国海軍が公開した写真には、非公表の海域でJL-2(巨浪2)潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)が海中から姿を現す様子が写っているように見える。
中国外務省の毛寧報道官は7日、北京で記者団に対し、今回の実験は中国軍の年次訓練の一環で、「特定の国や目標を対象としたものではない」と説明した。
今回の弾道ミサイル実験は、中国にとって2024年9月以来2回目となる。当時はフランス領ポリネシア・タヒチ北方の公海に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射しており、この海域も非核地帯に含まれる。それ以前のICBM実験は1980年までさかのぼる。
中国が太平洋で長距離ミサイルの発射実験に踏み切ったことは、中国軍の能力向上に対する自信の表れと広く受け止められている。
シドニーのシンクタンク、ローウィー研究所の上級防衛アナリスト、サム・ロゲビーンは本誌に対し、「中国は核戦力の大規模な拡張を進めている。こうした実験は今後も続き、さらに頻繁になる可能性もある」と述べた。
先月公表された報告書の共同執筆者でもあるロゲビーンは、中国軍が長距離攻撃を含むさまざまな手段でオーストラリアの領土や経済安全保障を脅かす可能性を想定し、政府はより十分な備えを進めるべきだと提言している。
米国務省のトーマス・ピゴット報道官は、米国は核拡散の防止に取り組んでいるが、「中国はその逆を行っている」と述べた。「中国は急速かつ不透明に核戦力を増強しており、地域だけでなく世界にとっても重大な懸念となっている」
ハワイに司令部を置く米インド太平洋軍は、勤務時間外に送付された書面でのコメント要請に直ちには応じなかった。
ミサイルはどこに着弾したのか
中国海軍の王学猛報道官は、模擬弾頭を搭載した弾道ミサイルは「公海上の指定海域に正確に着弾した」と述べた。「今回の発射実験は国際法および国際慣行に合致しており、特定の国や目標を対象としたものではない」
中国政府は発射地点や目標海域の詳細を明らかにしていない。ただ、中国当局が事前に発出し、日本の海上保安庁が公表したロケット残骸の落下に関する航行警報によると、ミサイルは約4000マイル(約6400キロ)以上飛行したとみられる。
ミサイルの落下予定海域は、キリバスとツバルの排他的経済水域(EEZ)のすぐ外側、ソロモン諸島の北東約500マイル(約800キロ)に位置する。航行警報では、発射地点は中国北東部の渤海、または南シナ海だった可能性が示されている。
ミサイルの正確な飛行経路は現時点では明らかになっていない。日本の木原稔官房長官は7日、日本の領空や排他的経済水域(EEZ)上空を通過したことは確認されていないと述べた。
台湾の国家安全会議トップを務める呉釗燮は7日遅く、中国がSLBMを発射し、「フィリピン上空を飛行した」と明らかにしたうえで、「地域を不安定化させる挑発行為だ」と批判した。
米国の同盟国であるフィリピンも、この実験について「小国や、その国民を支える脆弱な生態系への配慮を欠いた無謀な軍事力の誇示だ」と非難した。
フィリピン国防省のアルセニオ・アンドロンゴル報道官は、「今回の発射に平和的な目的はない。中国の違法な拡張主義や威圧に反対する国々を挑発し、威嚇するために計算された行動だ」と述べた。
中国海軍の094型戦略原子力潜水艦が沿岸海域から発射した場合、JL-2と新型のJL-3(巨浪3)はいずれも今回の着弾海域まで到達可能とされる。

