クマの体の感触は、岩のように硬い

〈「大声を出す」というのは熊に遭遇した際にするべき行動ではないと聞くが(相手を興奮させるので)、どう考えてもすでに戦闘回避のフェーズではなかった。闘いはもう避けることができないことを悟って自らを奮い立たせるためと、大声を出せば逃げてくれないかなという感情が4:6で混ざった『うぉおあー!!!』だ〉

闘いの詳細はよく思い出せない部分もあるが、こちらの最初の一撃が右足での前蹴りだったことははっきりと覚えている。クマは四つん這いで向かってきたので、足裏が当たったのはおそらく頭か肩のあたりだろう。

その感触が岩のような硬さだったことに戦慄した。イヌやネコに触れれば優しい柔らかさが伝わってくるが、クマは柔らかさのカケラもない、ガチガチの硬さだった。