しかし、同じ金額をスマホ決済アプリにチャージした途端、その金額は単なる「数字」という記号に変わり、いくらでも書き換えが可能な気がしてくる。決済のたびに減っても、数字が変わっていくだけで、積み上げられた紙幣の数が減っていくのとは重みが違う。

オトクかどうかに惑わされず、限られたお金を有意義に使うことを優先するなら、ぜひ先ほどの紙幣の仕分けを試してみてほしい。思うように貯蓄が増えない人、節約しているつもりでも支出が減らない人にもお勧めしたい。

「現金」で脳をリセット

逆にキャッシュレス手段を使えば使うほど、現実に使えるお金がぼやけてくる。クレジットカードは後払い、スマホ決済は事前チャージの前払い、とお金が動くタイミングが異なる方法を併用しているせいだ。

そのせいで、使っていい金額と、実際に払っている金額との間にズレが出てくる。その習慣がリセットされないままだと、いずれ年金暮らしとなった時に困る可能性がある。

というのは、年金はふた月ごとの振り込みだからだ。振込月の口座には十分残高があったとしても、それは翌月分も含んでいる。現役時代の給与振り込みと同じ感覚で使ってしまっては、翌月青ざめることになるだろう。

ひと月にいくら使えるか、またいくら使っているかを正しく把握することは、老後を安心して暮らすためにも欠かせない準備といえるだろう。

お金を持っている人の手
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現金効果をキャッシュレスでも生かす

冒頭で触れた「決済動向調査」によると、キャッシュレス決済を利用したいと思わない人に聞いた理由で目立ったのが「どのくらいお金を使ったのかわからなくなるから」だった。他に「現金払いで十分満足しているから」「不正利用が不安だから」という声も上がっているが、やはりキャッシュレスにするとお金を使い過ぎるのではないかとの懸念がある。

欲しい商品が見つかった場合、財布の中に1万円しかなければそれが上限だが、後払いのカードなら躊躇なく1万5000円の商品も買える。あえて5000円を節約する理由がないからだ。それが積もり積もると、利用明細の請求額を見て「こんなに使ったのか」と慌ててしまう。

キャッシュレス決済は、払った金額をまとめるのは得意だが、「そろそろ今月の生活費を使い切りそうです」と言ってはくれない。当然だろう、決済事業者はたくさん使ってもらうことがビジネスの最優先事項なのだから。

キャッシュレス決済を利用しつつ家計管理をわかりやすくする方法として、まずお金が動くタイミングで整理することだ。クレジットは後払い、デビットは即時払い、チャージ式スマホ決済や電子マネーは前払いと、実際の出し入れ時期が異なる。