「経済圏」の恩恵の対価

もっと困るのは、年間利用金額によってサービスが差別化される場合。例えば年間100万円利用すれば翌年の年会費が無料になるといった条件を付けているカードは多い。どのカードも、自社をメインで使ってほしいと考えている。

だから、たくさんお金を使ってくれる客に限ってサービスしますという方針だ。利用者はトクしているようでも、カード側の思惑に乗せられて、必要以上の決済を促されているのかもしれない。なお、その条件だって変更され、対象金額がさらに上がる可能性があるのは言うまでもない。

加えて気を付けたいのは、「○○経済圏」だ。クレジットカードやスマホ決済、モバイル、通信、ネットショッピング、銀行・証券・保険、電気やガスの契約を同じグループで揃えることで、ポイント還元率をアップすることができる。

逆に言えば、ポイント還元と引き換えに生活サービスをがっちり押さえられている状態ともいえる。もっと安い通信プランや格安スマホがあっても、その恩恵を手放すとなれば、なかなか踏み切れない。

お金が貯まる家計となるには、「生活費にいくら支払っているか」を把握することから始まる。ムダを省いて支出を増やさないことが基本のキだが、経済圏に入り込むと実質いくら払っているのか、それは本当に安い選択なのかが見えにくくなる。あなたが経済圏を利用するなら、そのメリットは生活情報を差し出したうえで受け取っているのだとの自覚は持っておくべきだろう。

通帳と1万円札とクレジットカード
写真=iStock.com/years
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キャッシュレス払いで金額は「数字」になる

節約に効果があるのはキャッシュレスか、あるいか現金かという議論は難しい。どちらにもメリットがありデメリットがある。

では、不人気の現金の優位性はなんだろうか。最大の価値は、お金は有限だということを自覚させてくれる点だ。翌月まで支払いが延ばせるカードとは違い、手元にある金額までしか使うことができない。この当たり前のことが、お金との向き合い方を鍛えてくれる。

以前、なかなかお金が貯まらないと嘆く若者へのアドバイスとして、ひと月の生活費を全額下ろして、トランプ札を配るように費目ごとに仕分けしてみることを勧めた。食費、交際費、被服費、娯楽費……というように。すると、自分が使えるお金はどのくらいの山なのか、一目でわかる。思ったよりも少ないと感じるだろう。その現実を目で見、脳に覚えさせることが、現金の役割だ。