年間2100万円超の“プレミアム席”も
記事冒頭でも紹介したように、東京ドームでもVIPルームやプレミアム席のリニューアルが進んでいる。
2022年の改修で2階コンコースに新設された、どちらも半個室の「MASU SUITE」(枡席コンセプト・年間利用料:5人席/1056万円〜10人席/2112万円)と「MASU CABANA」(リゾートコンセプト・年間利用料:4人席/768万円〜8人席/1536万円)は、全部屋が完売または残席僅少の状態にある。
半個室でもこの水準なのだから、法人しか契約できず、専用ゲートとホテルの専属サービスを備えた全室個室のTHE SUITE TOKYOの契約料は、さらに高額であることが想像に難くない。空き待ちの列は、28室の外側にも伸びている。
VIP席の新設・拡充がトレンド
この動きは東京ドームだけにとどまらない。
日本の新たなスポーツ施設では今、高級VIP席の新設・拡充が相次いでいる。もちろん、もともと東京ドームのシーズンチケットを抑え、クライアントの接待に使用するという傾向はそれまでも存在した。2002年のFIFAワールドカップ日韓大会でも、日本におけるスポーツホスピタリティ需要の兆候は顕著に現れ始めていた。
その後、日本でのホスピタリティ需要の広がりを象徴する出来事として、2009年に日本初開催となったラグビーのブレディスローカップが挙げられる。当時の部署で、このチケッティングを担当していたのだが、ニュージーランドとオーストラリアが対戦したこの一戦では、一般自由席が7000円だったのに対し、ホスピタリティシートは5万円前後で売り切れるという現象が起き、ラグビー関係者を驚愕させた。
これが2019年のラグビー・ワールドカップでは、決勝のスポーツ・ホスピタリティで27万5000円という価格設定にまで跳ね上がった。
2020年開催予定だった東京五輪は、新型コロナウイルス蔓延による延期および無観客開催となり、水を差された形だが、ついに日本国内においても、こうしたプレミア・シートが、スポーツ経済圏を下支えする構造となって来た。
国立競技場は2026年1月に“MUFGスタジアム”の呼称を得て、同年4月から「LIMINAL SUITE」が稼働。全53室というスケールは、THE SUITE TOKYOを上回る規模だ。そして楽天モバイルパーク宮城には、4人掛けで年間240万円、わずか9組限定という「プレステージ」が存在する。2025年、名古屋に登場したIGアリーナも40室あるスイート・ルームはソールドアウトという。

