最大の理由は「真似のしやすさ」
なぜ、憧れの対象が東南アジアに向かったのでしょうか。
きっかけのひとつは、K-POPです。BLACKPINKのリサ、NewJeansのハニ――いま世界的な人気を誇るスターの中に、東南アジアにルーツを持つメンバーがいます。彼女たちの人気が、Z世代が東南アジアのインフルエンサーに興味を持つきっかけになりました。
そのうえで、最大の理由は「真似のしやすさ」だと僕は見ています。
そもそも欧米のファッションは、骨格や顔立ちの違いから、日本の女性には参考にしづらいものでした。では韓国や中国はどうか。
韓国や中国のインフルエンサーは、極度に痩せていたり、正直、真似したくてもできない体型をしていたりします。ファッションも、ミニスカートやタイトな服が基本です。よほど自信のある女性でないと、なかなか手を出しにくいのです。
一方、東南アジアのインフルエンサーは違います。割と自然体に近い体型の人が多い。そして、韓国では過度なまでに色白が求められるのに対し、東南アジアの人たちは血色がよく、健康的な肌の人が多いのです。
ファッションも、フリルがついて可愛らしくて、でも露出はそんなに多くありません。日本でいま人気の可愛い系――KAWAII LAB.のFRUITS ZIPPERあたりに近い感覚もあって、特にタイはもともと可愛いものが好きな文化です。
考えてみれば、若者の憧れの対象は「芸能人」から「少し身近なインフルエンサー」に移ってきました。女性の俳優やモデルは無理でも、インフルエンサーなら真似できる。東南アジアのインフルエンサーは、その流れのさらに先にある、「もっと身近な憧れ」なのかもしれません。
「安価な生産拠点」から「自ら発信する側」へ
もう一つ、産業構造の変化も見逃せません。
ベトナムやタイは、長年、世界のアパレルの生産拠点として安価な衣服を作り続けてきました。その過程で、縫製やデザインの技術を着実に蓄積してきたのです。
その技術が花開き、いまや自分たちのデザインで洋服を作り、発信する側に回り始めました。たとえばベトナム・ホーチミンに1号店を構えるLSOUL(エルソル)には、僕も何度も足を運びましたが、すごい人気です。現地はもちろん、日本からわざわざ買いに行っている若い女子高生や女子大生もいます。
ほかにも、KiiiKiii(キキ)のメンバーが着用して話題になったベトナムのmangata、28店舗を展開しモンチッチとのコラボでも話題になったタイのGENTLE WOMANなど、日本のZ世代に刺さるブランドが次々と出てきています。
向こう側もそれに気づいて、オンラインで買えるようにしたり、日本でポップアップを開いたりする。この動きが異常に増えたのが、この半年くらいなのです。
