無料弁当に親子が集まった「まぜこぜ食堂」
無条件にすべての子どものお腹を満たす「学校給食」。しかし、夏休みや年明けといった長期休暇に入ると、この安全網が途絶える期間に突入する。行政からの代替となる直接的な食の支援は、今のところ整っていない。その結果、親の経済状況や家庭の歪みが、「子どもの飢え」としてダイレクトに表れてしまうのだ。
こういった行政の制度が届かない隙間を埋めるため、上野さんは4年にわたり、ある活動を続けている。
夏休みの給食がない約1カ月間、豊中市と連携する公民学連携事業として「まぜこぜ食堂」という誰もが利用できる「無料の弁当配布会」を開いている。
自治体の市民センターで開催し、去年は3500人もの人々が訪れた。合計3760食(大人1583食、子ども2177食)のお弁当を無料で配布。利用者数は初日の95人から、最終日には213人へと約2.2倍に急増した。店の営業をしながら上野さんは、頻繁に訪れる親子に話しかけ、「困っていることはないだろうか」とつぶさに観察した。
言葉にならない親たちの声
このイベントで実施したアンケートで、特に目立ったのは未就学児のいる家庭のSOSだ。
「ゆっくりお風呂に入りたい」
「眠りたい」
「少しの間だけ、子どもを見ていてほしい」
「誰かと話したい」
言葉にならない親たちの声の数々だった。
未就学児を育てる筆者も今、痛いほど理解できた。日々の生活を維持するために、親たちは心身をすり減らす。毎日の食事づくりに頭を抱える。子どもの成長に一喜一憂し、将来の養育費を心配する……。そういった中で、余裕を失っていくのだ。まるで、手錠をはめられて生きているような息苦しさ。これらの言葉の端々からは、経済的な困窮だけでなく「心の困窮」が浮き彫りになった。
なぜ、こんなにも親たちは心をすり減らさなければならないのか。なぜ親たちの苦しみを、大阪にいる総菜店の「おかん」のような民間が担う社会なのか。上野さん自身も、困惑の中にいる。
今年の「まぜこぜ食堂」は、7月20日から8月22日(11時半〜14時)まで「庄内コラボセンター会議室」にて行われ、無料の弁当を配布する予定だ。


