親子のコミュニケーションが上手くいかないときは、どうすればいいのか。元小学校教員で子育てコーチの潮田学さんは「Mさんのお子さんはとてもエネルギッシュで目立つ存在だった。そんな我が子を見るたびに、Mさんは『静かにしなさい』と強い口調で注意していたが、言うたびに自己嫌悪に陥っている状態だった」という――。

※本稿は、潮田学『「あなたのため」をやめましょう 親のエゴを手放せば子どもは動き出す』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

いたずら娘との問題を抱えている母親
写真=iStock.com/fizkes
※写真はイメージです

強い口調で叱っては自己嫌悪に陥る

次にご紹介するのは、Mさんのお話です。

Mさんのお子さんは、とてもエネルギッシュな子でした。思ったことをすぐ口にする。嬉しくなると、つい声が大きくなる。興味を持ったことには一直線で、その場の空気よりも「やりたい!」を優先する。いつも目立つ存在でした。

そんな我が子を見るたびに、Mさんはハラハラしていました。

「目立たないでほしい」
「少しは周りを見てほしい」
「そんなことをしていたら、変に思われるんじゃないか」

そして、つい、

「落ち着きなさい!」
「静かにしなさい!」
「ちゃんと周りを見なさい!」

と強い口調で言ってしまうのでした。

言った後には、いつも自己嫌悪に陥り、苦しくなりました。

本当は、この子を否定したいわけではない。もっと受け止めてあげたい。もっと安心できる言葉をかけてあげたい。

それなのに、どうしてもイライラしてしまう。そして、いつも怒鳴り散らしているそんな自分が嫌になる。

Mさんは、そんな苦しさを抱えて相談に来られました。

「周りの評価」を重視する価値観

ステップ①その背景にある信念・価値観を見つける

丁寧に見ていくと、Mさんの中には、こんな思いがありました。

「周りと違うと、生きづらくなる」
「目立たないでいることが安心だ」
「人からどう思われるかが大切だ」

その信念・価値観を生み出した背景には、もっと深刻なものがありました。

Mさんは、幼い頃から、親にたくさん否定的な言葉をかけられてきたそうです。

「なんでそんなこともできないの」
「もっとちゃんとしなさい」
「○○ちゃんはできるのに」

周りの子と比べられ、評価され、正され続けてきました。「自分が自分でいてはいけない」「存在してはいけない」。そんな感覚が無意識の中に少しずつ深く根をはっていたのでした。自分の感覚よりも、周りの評価。自分の気持ちよりも、周りがどう思うか。それが、いつの間にか、自分の価値を決める基準になっていました。