鉄道、核、インターネット、そして…

その上で、ティールを理解するうえで最も重要なのは、彼が「テクノロジーが国家の制度構造を変える」という歴史観を持っている点だ。19世紀の鉄道は中央集権国家を強化した、20世紀の核兵器は国家間の戦争を抑止した、インターネットは国家の情報統制を弱めた、というような具合だ。そして21世紀のAIは、国家の意思決定構造そのものを変える技術だと彼は考えている。

ただし、ティールはAIを「1990年代後半のインターネットと同程度の規模」としており、一般の人々が熱狂するような形ではAIを位置付けていない。そして、「AIだけでは政治の停滞を終わらせることはできない」とも語っている。

この歴史観に立つと、彼の民主主義批判は「自由を守るために制度疲労した民主主義をどうアップデートするか」という問題意識に基づくものだと理解できる。