不起訴=暴行ナシ、ではない

まず、不起訴は無罪判決とは違う。裁判には「一事不再理」の原則があり、判決が確定すると再審がないかぎり覆らないが、不起訴の場合、公訴時効が成立するまでは、検察が起訴に踏み切る「再起」はありえる。法的にはまだ司法判断は確定していないのに、佐野選手に近いJFAの側が「刑事事件として終了した」と言い切るのはどうなのだろうか。

また不起訴自体、必ずしも無罪を意味しているわけではない。不起訴には「起訴猶予」「嫌疑不十分」「嫌疑なし」の3つがあるが、「起訴猶予」は起訴できる事実があっても、加害者が被害者と示談して謝罪し、本人も初犯で反省している時などに適用される。「嫌疑不十分」も、性犯罪の場合、被害者のPTSDが深刻で裁判に臨む負担が大きく、証言の確保や公判維持が難しい結果、そうなる場合もある。佐野選手のように著名人の場合、特定されて誹謗中傷などの二次加害を受けるのではないか、と被害者側が裁判になることを恐れる可能性もある。

もし佐野選手の容疑が「嫌疑なし」(性暴力をふるっていない)だったのなら、相手の女性に謝罪し話し合いをする必要はなく、むしろ「逮捕は遺憾だ」と会見で表明すべきだったのではないだろうか。