妙に殺風景な店内にあったのは…

外観は、平均的な駅そばと変わらない。しかし、一歩店内に足を踏み入れると、異様なムードに包まれる。厨房がなく、妙に殺風景なのだ。店内にあるのは、客席と大型の券売機のように見える自動販売機。実はこの自動販売機が、そばの調理提供マシンなのだ。つまり、厨房がなく店員も常駐していない、完全無人営業の駅そばなのである。

そばの自動販売機と聞いて“レトロ自販機”を連想するのは、私だけではないだろう。あらかじめ麺と具材を盛りつけた丼をセットし、お金を入れてボタンを押すと湯が注がれ、遠心分離作用で麺を湯がき、最後につゆを注いで提供される自販機だ。昭和生まれなら、一度は見たことがあるのではないだろうか。一時期は観光地近くのドライブインや国道沿いのオートレストラン(自動販売機を集めた施設で、ゲームコーナーを併設していることが多い)などでよく見かけたものだ。しかし、その後廃れ、見かける機会は激減してしまった。保存性に優れたカップラーメンに取って代わられた印象だ。

上野駅のセルフ駅そばのそば自販機は、そのレトロ自販機を時代に即して進化させた形といえるかもしれない。いってみれば、令和版そば自販機だ。

(鈴木 弘毅/Webオリジナル(外部転載))
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