「誰でも気軽に」とは言えない理由

一方、ルーツを探ることで時に、想像していなかった事実に突然行き当たることがある。

私の知人はかつて、「両親の戸籍を見て、親の帰化歴を知った」という。ルーツが外国にあると両親からは聞いたことはなく、戸籍を見てはじめて気が付いたのだ。改めて両親に問うと、朝鮮半島にルーツがある在日コリアンだったという。

先出の丸山さんの調査でも、「祖父だと思っていた人が実は祖父ではなかった」などというケースはときどきある。

私はそこまでの驚きは今のところないが、祖父母の履歴でおそらく両親も知らない事実がいくつかあり、それを伝えるべきか少し悩んだりもした。また、家系や出自と距離を置きたい人や知りたくない人もいるだろうし、その思いも尊重される必要がある。

丸山さんは続ける。

「驚くべき事実に突然出会うことはありますし、文献調査などに踏み込めば犯罪歴などを知ることもあります。だから『誰でも気軽に』とは言えません。

それでも、知りたいと思ったときに知れる環境は整いつつあります。自分が、あるいは両親が元気なうちに、そうした家族の歴史を知っておくのも、悪くはないと思っています」