天才軍師が残した「最大の遺産」

話が戻るが、結核は現在でもAIDS、マラリアとともに世界三大感染症の一つである。2020年代になっても途上国を中心に全世界では年間1000万人以上が新規に罹患し、10~15%は死亡している。先進国においても、途上国からの移民や難民の患者、さらにそうした人々からの二次感染が増えている。

結核には一定期間複数の抗菌薬を飲み続ける必要があるが、風邪だと思って自己判断や確定診断なしに一種類の抗菌薬を飲み続けると耐性結核が生じて治療が困難になる。結核はレントゲンや血液の検査で比較的簡単に診断でき、さらに初期であれば通院内服で治療ができるので心配な時は必ず内科(呼吸器科)を受診し症状がなくても検診を受けていただきたい。

結核は少なくなっているが、肺がんや動脈硬化性疾患は増えており検診で自分の健康状態をチェックして少しでも異常があったら仕事を中断して療養に専念するあるいは仕事を減らして同僚後輩に任せていただきたい。

繰り返しになるが半兵衛が残した最大の遺産は奇策ではなく人材と組織管理だったともいえる。自らの寿命が限られていることを知った彼は、組織を自分一人の能力に依存させなかった。優れた後継者を見出し、その人物を信じ、時には命令に背いてでも守った。

竹中半兵衛重治の肖像画(岐阜県竹中重時氏旧蔵)
竹中半兵衛の肖像画(岐阜県竹中重時氏旧蔵)(写真=PD US expired/Wikimedia Commons

秀吉軍団が半兵衛の死後も機能し続けた理由は、優れた軍略ではなく、人材と組織を残したことにあった。組織構築と運営の要は戦国時代も現代も変わらない。真に優れた指導者とは、自らが最前線で働き続ける人ではなく、自分がいなくても組織が動く仕組みを作る人なのである。

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