いい上司は部下の短所や苦手を追及しない

では、本人のできることや良いところには、どうしたら気づけるのでしょう。

子どもだったら、小さいうちからいろんなことをやらせてみるといいです。

「そんなこと言ったって、やらせてみても、すぐ飽きるんです」「飽きてばかりで、つい怒ってしまいます」――。このような声が聞こえてきそうですが、飽きたら次へ、です。そして、また飽きたらその次へ。

ありとあらゆる場所に、全財産をかけるつもりで連れていきましょう。動物園、遊園地、水族館、科学館、博物館、美術館、映画館、スポーツ観戦、何から何まで。一緒に巡って、「この子は何に興味を持つかな?」と粘り強く観察することです。

親子だけじゃなく、上司と部下の関係でも考えてみましょう。

私の思う「いい上司」とは、部下の短所や苦手を追及しない人。もちろん、失敗の原因は掘り下げますし、次にどうするかは一緒に考えたほうがいいです。

でも、短所や苦手を直すように迫っても仕方がないでしょう。もし、そのできないことが脳の特性によるものなら、それはその人の個性であり、変えようとして変えられるものではないのです。

だから、相手のできること、良いところを見るようにする。どうしたら、それらをもっと広げていけるかを考える。営業でうまくいかないのだったら事務、事務が苦手なら開発、そんなふうに違うことをどんどん、どんどんやらせてみることです。そのうち、本人の良いところとマッチする仕事が見つかります。

男性がオフィスでプレゼンテーションを行い、画面に表示されたグラフを説明
写真=iStock.com/Mina Kaito
※写真はイメージです

ロマンとビジョンがあるから突き詰められた

特性による短所は、時として長所にもなり得るもの。表裏一体です。

思ったことを素直に口に出してしまうところは、「裏表がない」「ウソがない」という信頼感に繋がることもあるでしょう。話があちこちに飛んでしまう落ち着きのなさは、「話し好きの楽しい人」と受け止められるかもしれません。

多動性のある人は、その特性によってトラブルになりやすい半面、明るく社交的で人から好かれやすいから、ムードメーカーとなることも少なくないのです。

とはいえ、発達障害の人が組織の中をすいすいと泳いでいくのが難しいのはたしかです。私自身、家族から「お父さんはサラリーマンだったら一生ヒラか、会社をクビになったかだろうね」と言われています。会社ごとに社風があり、細かなルールが多いサラリーマンの社会では、発達障害の特性は生きづらさに繋がることも多いでしょう。

学校でも同じです。型にはめようとする教えの中では身動きがとりづらい。

でも、だからこそ、たった一つで構わないので自分の長所を見つけて、それを極めて、得意な武器に変えていく発想が必要です。

私の「苦手」は、80歳をこえた今でもそのまんまです。でも、私だけの武器を使って「進歩・発展・変化」していく努力は絶えず続けています。

私がそうできたのは、ロマンとビジョンがあったから。それを実現するための計画を立て、四六時中考えたことがよかった。

壁にぶつかることも、もちろん何度もありました。正直、苦しかったです。けれど、私にはロマンとビジョンがあるから、好奇心のまま、人の3倍も4倍も努力することができる。物事を突き詰めて考えることができます。