20代教師が精神疾患で離職する現状
若手の離職も深刻である。文科省が毎年発表している「公立学校教職員の人事行政状況調査」では、病気休職者等の人数が公表されている。「病気休職者及び1カ月以上の病気休暇取得者」について、年代別の人数が確認できる2016年度から2024年度までのデータを整理し、下の図表2にまとめた。
精神疾患による病気休職・休暇の人数を在職者数で除した数値の推移を見ると、2016年時点では、20代から50代以上の間にほとんど差がない。ところが徐々に若い世代の数値が高くなっていき、2024年度には20代がもっとも高く(2.21%)、50代(1.10%)の約2倍に達している。
調査方法・対象等の違いにより単純な比較はできないが、地方公務員においても2024年度の「精神及び行動の障害による長期病休者」は、20代以下が50代より1.5倍高い(※1)。精神疾患により若手が職場を離脱するのは、公立校教員限定の問題ではない。だが、一方で20代教員の離職に目を向けることで、教師不足に歯止めをかけられる可能性がある。
※1 一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会「令和7年地方公務員健康状況等の現況」
子供対応で心が折れるのではない
若手にとっては、長時間労働の負荷も大きいが、もう一つ、保護者対応の負荷も大きい。自分より年齢が上の保護者から投げかけられる厳しい言葉で心が折れてしまう。教師は、子供の対応で挫折するというよりも、保護者の対応で挫折するのだ。
じつはいま、文科省においても保護者対応が重要な検討課題に浮上してきている。学校がさまざまな業務を背負わされているなか、その業務の範囲や優先順位を明確化した「学校と教師の業務の3分類」(学校以外が担うべき業務/教師以外が積極的に参画すべき業務/教師の業務だが負担軽減を促進すべき業務)と称される整理が、2025年9月に提示されたところである(図表3)。
これは2019年に策定された「学校・教師が担う業務に係る3分類」がもとになっている。当時14項目から構成されていた3分類は、今回19項目へと項目が追加された。
その追加された項目の一つが「保護者等からの過剰な苦情や不当な要求等の学校では対応が困難な事案への対応」である。保護者から学校への苦情に対して、教育委員会に対応窓口を設置する、学校が弁護士等の専門家を活用できるようにするなどの案が示された。



