訪中ラッシュに逆行する日本

さらに、カーニー首相に続いて1月28日から北京を訪れたのは、イギリスのキア・スターマー首相だ。同国のビジネスリーダーら60人を引き連れての訪中だった。

2026年1月29日、英国のキア・スターマー首相が、中国・北京の人民大会堂で習近平国家主席兼中国共産党総書記と二国間会談を行った
2026年1月29日、英国のキア・スターマー首相が、中国・北京の人民大会堂で習近平国家主席兼中国共産党総書記と二国間会談を行った(写真=Simon Dawson/Number 10/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

興味深いのは、オーストラリア、カナダ、イギリスがともに7~8年という長い歳月を隔てて再び訪中に踏み切ったことである。このブランクが意味しているのは、西側先進国がようやく新型コロナ禍で悪化した対中外交を正常な軌道に戻そうと動きだしたことだ。

2025年暮れから2026年にかけては、フランスのエマニュエル・マクロン大統領やドイツのフリードリヒ・メルツ首相も訪中している。彼ら首脳にそうした決断をさせたのは「トランプ2.0」であることは間違いないが、それだけではない。

中国と対立することのデメリットを、彼ら自身が時間をかけて学んだ点も見逃せないからだ。そのことは、いずれも自国の経済人を大勢引き連れて訪中したことからも見て取れる。

そういった流れに逆らうかのように、中国についての否定的な情報やマイナスイメージばかりをクローズアップして、中国とさらに距離を置こうとしているのが日本なのである。

着々と整う中国の外交環境

一方の中国は、米中対立の裏で、アメリカ以外の国との関係改善を進め、着々と外交環境を整えてきた。その象徴的な成果が、インドとの和解だ。

2025年8月31日、習近平国家主席はインドのナレンドラ・モディ首相と5年ぶりに会談した。中国天津市で開催された安全保障の枠組みである上海協力機構(SCO/加盟国は10カ国。ロシア、中国、キルギス、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシ)首脳会議でのことだ。

中国とインドの関係改善は、両大国が属するBRICSやSCOの存在感を国際社会の中で高めることに大きく寄与するだけでなく、メンバー国同士の紛争や対立を「話し合いで解決できる」ことを証明する良い機会にもなった。

BRICS加盟国は現在11カ国で、人口の総和は世界全体の49%にも達する。GDP(国内総生産)の合計も世界の3分の1を上回る規模で、今後もさらに成長が期待されている。加盟国の他に準加盟国としての「パートナー国」があり、タイやマレーシア、ベトナムなど10か国が参加し、さらに多くの国が関心を寄せている。このままゆけばBRICSが、世界の人口のわずか10%にも満たない「G7」(先進7か国)を凌駕する影響力を持つ日が来ても、不思議ではない。

その中でもインドは、中国と価値観の異なる西側先進国にとって中国の台頭を封じ込めるために大きなカギを握る存在と期待されてきた。