「初動防除」はなぜ失敗したのか

セグロウリミバエが沖縄本島の名護市で初めて確認されたのは2024年3月だった。

このハエは、ウリ類やナス類、熱帯果実などの果実内部に産卵する。幼虫は果実の中を食い荒らし、農業に深刻な経済被害をもたらす。その危険性から「特殊害虫」と呼べる大害虫だ。

東南アジアでは普通に生息しており、今回の発生も海外から持ち込まれた可能性が高いとみられている。

問題は、その後だった。

国際的な植物防疫上の問題にも

侵入したセグロウリミバエは、わずか数カ月で沖縄本島各地へ急速に拡散した。

2024年冬には中北部まで広がり、農林水産省は沖縄県・総合事務局・農研機構の害虫対策の研究者・特殊害虫の専門家らと協議の上、2025年4月、「緊急防除」の発動を決定した。

これは極めて重い措置だ。簡単に言えば、沖縄本島で栽培された対象果実(*2)は、国の検査を受けなければ島外へ持ち出せなくなったのである。

もし寄生した果実が本土へ持ち込まれ、九州以北で定着すれば、日本の果菜農家は大打撃を受ける。さらに、日本は他国から、このミバエが発生している国とレッテルが貼られる。

そうなると、このハエが普通に生息する国々から、消毒なしで安価の果実が輸入される。つまり日本は「セグロウリミバエ発生国」とみなされ、国際的な植物防疫上の信用も失いかねない。

だからこそ、侵入初期の“初動防除”が極めて重要だった。