経営力を発揮する方法が閉ざされている
というのも、今の大学業界は経営力を発揮する方法が閉ざされているからだ。前述の定員然り。企業で言えば、お客さんの上限が定められているので、数を増やして収入増を狙うことができない。どんなに良い教育を頑張って実現しても、定員を増やすことができなければ収入は増えない。
収入を増やそうと思えば、学費を値上げする他ないが、他大学と競争する中で、他大学より学費を値上げすれば入学者が減ることになりかねない。せいぜい、物価上昇分だけの値上げしかできず、逆に物価上昇を吸収できなければマイナスになりかねない。
もうひとつは学費収入以外の収入を増やすことだ。同窓会組織がしっかりしていて、周年行事などでの寄付が集まる体制ができていれば、校舎の新築といった費用を寄付で賄うことができる。資材費などが猛烈に高騰する中で、建設費を学費収入で賄おうとすれば、大学経営が一気に傾くことになりかねない。校舎新築資金の返済に追い詰められて破綻寸前の学校法人も実際にある。
経営の多角化とM&Aの検討
今後も少子化が続くことを考えれば、学費以外の収入を稼げる事業を拡げることも不可欠だ。いわゆる多角化である。バブルの頃、大手鉄鋼会社が鰻の養殖事業に乗り出して失敗したことがあったが、経営力があるはずの企業でも多角化はなかなかうまくいかない。教育事業の周囲や、地域と連携した事業の拡大なども課題だ。
さらに考えるべきはM&A(合併・買収)である。学校法人の場合、株式会社の株式のように支配権の持分がないため、金銭で買収するということが基本的に難しい。中小の学校法人で行われているのは、全権を握っている理事長に高額の退職金を払って理事長ポストを手に入れることで学校法人を支配するやり方だ。M&A仲介会社などもこの手法を持ちかけている。小規模のところはともかく、それなりに規模のある私立大学では、この手法は使えない。
逆に言えば、2つの学校法人の経営陣(理事会等)が合意すれば、手元資金がなくてもM&Aが実行できるとも言える。こうした戦略的な統合をする上で、統合後の大学のあり方や教育の質、教職員の処遇などを考える「経営力」が不可欠になる。

