的外れな発言を繰り返す「格下の代表団」
さらには事実関係として、2年前にも中国との良好な協力関係のもとで、ほぼ同じ航路をたどっていると説明。次に同海域を訪れる際には、再びより良い形で迎えられることを願う、と締めくくった。
問題のフリゲート艦「デ・ロイテル」はいまインド太平洋で活動しており、域内の友好国との連携を進めている。コチ、スラバヤ、マニラへの寄港を経て、発言の時点ではベトナムに滞在中である。同艦は事前に計画された通りの航路を国際法に従って進んでおり、活動の場はあくまで航行の自由が適用される海域にとどまる。もっとも、艦載ヘリの領空侵犯に関しては、オランダは争点とすることを避け、明確に否定しなかった。
ただし、ここで疑問視されるのは、日本、フィリピン、オランダと、各国を標的に据え次々と舌鋒鋭く批判する中国側の姿勢だ。
シャングリラ会合は2002年の創設当初から、各国の国防担当が一堂に会して対話し、信頼を醸成し、安全保障面での現実的な協力体制を育むことを目的としている。鋭い質問自体はめずらしくないものの、建設的な意見交換が本筋である。
その場に招かれた中国は、批判を恐れて閣僚級を送り込まず、格下の代表団が壇上から各国を次々と被告扱いする姿勢を取った。こうした方針は、国際協力の場になじまないと言わざるを得ない。日本では小泉氏との応酬が大きく報じられているが、中国は日本にとどまらず複数の国々を一方的に敵対視する姿勢が目立つ。
小泉氏が突いた中国の矛盾
こうした中国に対し小泉氏は、軍備を急拡大させているのはむしろ中国側であるとの事実を突いた。
反論では、「核兵器と戦略爆撃機を大量に保有する国」との表現で中国に矛先を向けた。実際、米国防専門デジタル誌のブレーキング・ディフェンスがストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の集計をもとに伝えたところによれば、中国の核弾頭保有数は2025年までのわずか1年で、推定500発から600発超へと急増した。
いまや、イギリスとフランスの保有分を合わせた総数すら上回る。2023年以降、年におよそ100発というペースで新たな弾頭を加え続けており、伸び率はどの核保有国をも凌ぐ。
戦闘機の最新鋭化も進む。SIPRIによれば、2025年には第6世代戦闘機とされるJ-36とJ-50の試作機が試験段階に入った。
なかでも小泉氏の指摘に直結するのが、戦略爆撃機の動きだ。同じ年、新型のH-20が初期作戦能力(IOC)に到達した。実戦投入に必要な最低限の運用態勢が整ったということであり、研究開発の域を出て、現実の戦力として初期段階に到達したことを意味する。

