数字を使ってニュースを分析する!
さて、いよいよ講座の最終日。予告されていたようにグループワークに取り組むことになった。僕のチームはランダムに選ばれた3人だ。
テーマは「ニュースの数字を読む」。いくつか出された候補のなかからニュースを1つ選び、数字を使って分析を行えというもの。制限時間は20分で、ネット検索でネタを収集して構わない。
僕たちのチームが選んだニュースは「7月27日の『土用の丑(うし)の日』を前に、小売り・外食でウナギの値上げが相次いでいる」。さて、学んだ知識を使ってこのニュースをどう切るか。
まずニュースを検索してみると、吉野家とすき家では鰻丼を去年より100円値上げし、それぞれ650円、780円で販売するとの記事が引っかかった。しかし、これだけでは分析にはならない。どうしよう……。時間が刻々と過ぎていくなか、焦ってほかに材料はないかと調べているうちに引っかかったのが、「シラスウナギ(ウナギの稚魚)は1キロあたり約240万~250万円の値がついており、昨年の86万円の3倍近くに上がった」という新聞記事。吉野家やすき家が100円値上げしたのと比べ、ずいぶん上げ幅に差があるのではないか?
ならば、両者の差を比較してみたら1つの分析になるかもしれない。そこでそれぞれの値上げ幅を計算し、次のようにプレゼンした。
「新聞記事に基づくと、昨年と比べ値上げ幅は吉野家が18.2%アップ、すき家が14.7%アップなのに対し、シラスウナギの卸値は約300%アップ。ということは、外食店は赤字覚悟で鰻丼を提供しているかもしれない」
20分という制限のなかでは、悪くない分析だったのではないだろうか。果たして、先生の評価はどうか。
「基本的にはいいプレゼンだったと思いますよ。ただし、シラスウナギの卸値は昨年の『300%アップ』ではなく『200%アップ』ですね」
確かに、昨年の300%アップにするとシラスウナギの卸値は344万円になってしまう。このミスは講座の冒頭で「残念なビジネスマン」の例として挙げられたのと同じ類のもの……。
講座を一通り終えてとても勉強にはなったけれど、僕が残念なビジネスマンから脱するのはまだまだ先のようだ。