雅子妃に求婚してしまった

そして、人間関係もいいときがあれば悪いときもある。しかし、一度付き合った人とはお互い立場がどんなに悪くなろうと同じ心、同じ姿勢でお付き合いする。これも大事なことなのです。

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人材は、「論理性」よりも「親和性」

例えば、角さんの派閥から竹下さんとともに「創政会」という新しい派閥をつくって独立しようとしたときがあります。そのときは小沢一郎さんとか小渕恵三さんもいたけど、田中先生のところに「創政会つくって、参加します」って直接言いにいったのは私一人。ほかの幹部は誰も行かない。それでも「私は竹下さんの縁でオヤジさんと知り合うことになりました。だからお許しください」と。そりゃ、怒鳴られました。しかし、筋は通しました。そのおかげで、その後も田中邸で昼からオールドパーのご相伴に与ったりもするぐらいの関係をつづけることができました。

私もいろいろバカなことをやってきたし、失敗も数多くしてきた。なかでも一番は、皇太子妃・雅子さまの件かな。宮沢喜一内閣のときに通産大臣をお引き受けしたんですが、貿易摩擦で日米が一番大変なときだった。そのとき、外務省北米二課の課長補佐だった小和田雅子さんが、ブッシュ大統領在日中、私を助けてくれたんです。だから私は、「あなたは素晴らしい。いずれ外務省の事務次官になるでしょう」なんて言いながら、「息子の嫁になっていただけませんか」と言ってしまったんです。その後、皇太子殿下の奥様になられて。私は衆議院副議長として皇族の方々によくご挨拶に伺いましたが、そのたびに「本当に申し訳ありません」と頭を下げていました。雅子さまはいつもニコニコしてくださいました。

私はこんな失敗談を平気で人に話しますが、それでもバカにされるだけではないのは、周りの人に恵まれたからだと思います。

民主党元最高顧問 渡部恒三
1932年5月24日生まれ。55年早稲田大学第一文学部卒業。69年衆議院議員総選挙当選(14期)。厚生大臣、国会対策委員長、自治大臣などを歴任。2003年、勲一等旭日大綬賞受章。
(構成=宮崎俊哉 撮影=小倉和徳)
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