今の円安は「アベノミクスの副作用」
②国債を保有する民間金融機関に莫大な国債評価損が発生する。
③国債増発による金利上昇スパイラルが発生する可能性がある。
特に①と③は円の信用につながる。③が一番大きい。「金利を上げているのに円安が止まらない」という状況が発生する。もうそれは始まっている。
では、日銀が国債買入額を再び増額し、金利を抑制したらどうなるのか。それは為替市場へ「通貨安を放置する」という明確なサインを送ることになるので、やはり円安が進んでしまう。
「結局どちらの道を選んでも、円安が止まらないではないか」と思ったかもしれない。そのとおりである。これが、「アベノミクスに出口はない」と言われ続けた理由である。こうなった原因は日銀の国債爆買いであり、それはアベノミクスそのものである。だから、今の円安は「アベノミクスの副作用」なのである。
今「積極財政」を行ってはいけない理由
この状況で「サナエノミクス」、すなわち積極財政を行うとどうなるのか。積極財政は財政支出の拡大を意味するため、当然、国債を増発する必要がある。つまり、「お金が増える」ので、円の価値は当然落ちる上、日本財政への信頼も落ちる。
要するに、ただでさえ円の価値が危険に晒されている状況が、もっと悪化する。高熱を出している人を、水風呂に入れるようなものである。専門的知識を持つ人からすれば、絶対にやってはいけない誤った政策である。だから高市氏の総裁選勝利後、急激に円安が進んだと言える。
なお、消費税減税も、市場に与える影響は「積極財政」と同様である。減税したら穴埋めのために国債を増発しなければならない。そうすると、ただでさえ危うい状況にある日本財政への信頼がさらに落ち、金利上昇と円安が悪化する。
物価は上昇し続けるため、消費税減税による物価下落は、円安による物価上昇によってすぐに打ち消され、生活はより苦しくなる。「消費税の代わりに、もっと恐ろしいインフレ税が来る」だけなのである。うまい話はない。
総選挙の前に公表された2026年度当初予算案は、史上最大の122兆円を超え、国債発行額も約30兆円と前年度当初予算を超えた。ただ、これでも想像よりは抑制されていると受け止められたようである。
しかし、例年通りであれば、年度中に補正予算を組んで追加支出をするであろう。その時、市場がどう反応するか。円安が悪化する可能性は高い。今までは為替介入で無理やり抑え込んできたが、それが今後も通用する保証はない。

