社会的スキルは練習で身につくもの

繰り返しになりますが、スキルの重要な特徴は、練習や訓練、学びなどにより、身につけることができる点にあります。また、菊池の尺度からも読み取れると思いますが、具体的な行動ができるかどうかという点に落とし込んで考えることができます。

唐沢かおり『「気が利く」とはどういうことか―対人関係の心理学』(筑摩書房)
唐沢かおり『「気が利く」とはどういうことか―対人関係の心理学』(筑摩書房)

どう落とし込むかについては、書籍やWebなどに具体例が書かれていますので、それらが参考になると思います。Chat GPTに、職場で気が利くと思われる言動を挙げるように指示してもこんな結果が出ます。

――終業時間直前に、用件を伝える必要があるとき「いま、お忙しい時間ですよね。明日の朝でも大丈夫です」と一言添えて、相手の時間への配慮を示す。

――上司や同僚が忙しそうなときに、「この資料、私のほうで下書きだけでも作っておきましょうか?」という言葉で、フォローする姿勢を見せる。

――自分のタスクが早く終わったとき、上司に「いま、少し手が空いています。お手伝いできることがあれば教えてください」と声をかけ、指示を出しやすくする。

できそうなことを探してやってみる

これらは、先に述べた「ハウツー」の具体例でもあります。AIに尋ねれば、場面ごと、役割ごとに、いろいろ教えてくれるので、便利なのですが、なかには、「え〜……ちょっとこれは、自分には言えないなあ」というものも出てくるでしょう。もちろん書籍を参考にしても同じことだと思います。ある言動が、気が利くと受け止められるのかは、それがおこなわれる文脈や相手との関係に依存しますし、自分のキャラとは合わないとか、それをいうのはちょっと恥ずかしいと思うような事例も、多々あるでしょう。

そのような場合、「これなら、たぶんできそう、言えそう」というものがあれば、それに絞るのも良いでしょう。高いハードルではなく、少しだけ高さのあるハードルを考えて、いくつかの例を頭の中に置いておくことから始めてはいかがでしょうか。

最初からたくさんやってみようと欲張る必要はなく、数は少しでも、できそうなこと、言えそうなことは何か、さらには、何を目指してそうするのかを、ちゃんと考えることが重要です。これは、できそうな事例を頭の中に入れるためでもあるのですが、自分自身の日常の言動や他者との関係を振り返り、自分のスキルを再認識することにもつながります。

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