11月の中間選挙までのミッション

まずウクライナ戦争を凍結し、ロシアを中国から少しでも引き離す。欧州には防衛負担を負わせる。中東ではイランを抑え込む。そのうえで、中国に集中する。

この順番を考えれば、今回の米中友好演出は理解できる。いま中国と全面対決するのは得策ではない。まずは米中関係を安定させて、大豆などの農産品や航空機購入を打ち出して、市場を安心させる。農業州にも成果を示す。中国との首脳関係を演出する。

これは中国と友好関係を結ぼうとしているのではなく、中国との対決を後ろに回しているだけだと考えるべきだ。

トランプ大統領にとって、中間選挙前にほしい成果は何か。それは自分が戦争を止めたという成果だ。

アメリカの投票所
写真=iStock.com/SDI Productions
※写真はイメージです

バイデン政権が終わらせられなかったウクライナ戦争を、自分は止めた。欧州には負担を負わせた、ロシアとは取引した、アメリカの利益を守ったなどの具体的な成果を出すことが、トランプ大統領にとって重要なのである。

そのうえで、次の段階として中国に強く出る。これが第一次政権と同様に最も自然な流れだ。

もちろん、中間選挙前にウクライナ停戦が実現するとは限らない。両国の停戦合意が非常に難しいのは確かである。ウクライナが受け入れられる条件、ロシアが国内向けに説明できる条件、欧州が飲める条件、アメリカが支えられる条件は、それぞれ違う。

日本は米中衝突に備えなければならない

停戦が中間選挙前に間に合わない場合は、トランプ大統領は対中強硬策を前倒しする可能性がある。ウクライナで成果が出なければ、中国に強く出ることで「自分は弱腰ではない」と示すきっかけができるからだ。

戦略的に見れば、より合理的なのは、ウクライナを管理可能な状態にしてから、中国に集中することである。トランプ大統領の対中強硬化は、ウクライナ停戦、あるいは少なくとも停戦プロセスの演出に成功した後に本格化する可能性が高い。

このダイナミックな「戦線整理」の期間中、日本企業や日本政府は、表層的な「米中融和」のムードに一喜一憂してはならない。むしろ、この「後回しにされた猶予期間」こそ、来るべき米中激突に向けたサプライチェーンの強靭化や、次なるトランプの要求(日米貿易交渉など)に備えるための貴重な時間となる。

ロシアは寝返らせたい敵だ。イランは抑え込むべき敵だ。そして中国は、最後に向き合うべき最大の競争相手である。米中首脳会談の笑顔の裏で進んでいるのは、和解ではなく、次の対決に向けて戦略的な順序に従った政策である。

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