代謝そのものが老化を促進する
もう一つ重要なのが、インクレチンは、脳に作用して食べる行動を抑制する働きをするという点です。さらに、胃に作用して、胃の蠕動運動を抑制する、つまり食欲を抑える方向に働くのです。
カロリー・リストリクションを行えば、腸へのストレスが減少し、インクレチン分泌促進にもつながります。すると、血液中の糖分の分解が進んで、すばやくエネルギーに変わることで、肥満になりにくくなるのです。
また、カロリー・リストリクションは老化予防にも有効とされています。じつは、人間が食べ物をエネルギーに変えること自体、つまり代謝そのものが老化を促進することがわかっています。
ということは、多くの食べ物を摂取し、多くのエネルギーを消費していくことが老化を加速するのなら、逆に摂取カロリーを必要最小限にし、代謝をコントロールすれば、加齢に対抗できるかもしれません。
この考え方は、現在の抗加齢医学の主流となっているだけでなく、腸の疾患や糖尿病、メタボリックシンドロームなどの改善にも共通する概念となっています。
食べ過ぎれば、当然、吸収しなければならない多くの内容物が腸内に流入してきて、腸に負担(腸ストレス)をかけます。このストレスが、腸の老化だけでなく、肥満を招き、糖尿病を引き起こすことにつながるのです。
腸を元気にすると高血圧が改善
食べ過ぎによる腸ストレスと糖尿病との関連について、次のような研究も発表されています。
慶應大学の伊藤裕教授らの研究では、高脂肪食をたくさん食べさせた動物は、早い段階で腸に炎症が起こっていることを報告しています。つまり、この腸の炎症は、ストレス反応の一つといえるのです。
さらに驚くことには、肥満を解消するための減量手術(小腸の一部を切り離し、それを直接胃につなげることで、食べ物が通過する部分を少なくするバイパス手術)で、バイパスした分だけ栄養分の吸収面積が減少し、肥満解消につながるわけですが、それによってインクレチンなどの腸のホルモン分泌が改善し、インスリンの分泌が促され、高血糖の改善が認められたというのです。
つまり、腸へのストレスが少なくなることで、腸の炎症が抑えられる上、肥満・糖尿病が改善することが明らかになってきたのです。
この研究のように、「腸を元気にすれば糖尿病がよくなる」ということが、次々と報告されてきています。

