研究対象者に誤差があった可能性
観察研究では「果物を食べたから健康になった」という因果関係までは証明できません。日本人を対象にした研究[Br J Nutr 2009; 102: 285-292]でも、果物をよく食べるグループのほうが健康だという結果は出ています。しかし、そのグループにはもともと女性が多く、糖尿病も少ない傾向がありました。
さらに興味深いことに、果物を多く食べるグループは1日のエネルギー摂取量が237kcalも多いにもかかわらず、体格(BMI)はほぼ変わりませんでした。
つまり、「たくさん食べても太りにくい体質」の人がそもそも多かった可能性があります。「果物のおかげで健康になった」のか、「もともと健康な人が果物をよく食べていた」だけなのか、この研究からは区別がつかないのです。
熟した果物ほど糖度が上がる
また、果物に含まれる果糖の量には、品種、産地、旬、年度などで幅があります。さらに熟した果物ほど甘くなって糖度が上がり、果糖の含有量が増える傾向があります。
GIと同じように糖度には、品種や産地や季節によって大きな差があります。
参考までに、バナナ21.0%、キウイフルーツ(黄色)18.8%、ブドウ17.5%、リンゴ15%、みかん12.1%、グレープフルーツ10%となっています[農林水産省『果樹をめぐる情勢』]。
たとえば、一般的なリンゴ2分の1個(150g)には、およそ18gの糖質が含まれています。含まれる果糖はおよそ12g。同じくキウイフルーツ1個(黄色、100g)にはおよそ12gの糖質が含まれており、そのうち果糖は約6g。バナナ1本(皮なし、100g)には18g前後の糖質が含まれており、そのうち果糖は約7gです[文部科学省『食品成分データベース』]。
しかし、果物は同じ果物であっても、完熟度や完熟の方法によっても栄養素が変わることが知られています[PLoS One 2021; 16: e0253366][Food Funct 2024; 15: 3433-3445]。
さらに、最近では、品種改良などにより、果物の糖度は総じて上がり、含まれている果糖も多くなる傾向があります。私が子どもの頃のイチゴは酸っぱくて、砂糖や練乳をかけて食べていました。いまのイチゴは酸っぱさよりも甘さが際立ち、砂糖や練乳をかけなくてもおいしく味わえます。果糖の含有量は時代とともに(品種改良によって)大きな変化を起こしています。


