インスリンが長生きの秘訣

なぜこのように広範囲な悪影響があるのかというと、インスリンには活性酸素を抑えたり、血圧を下げたり、血栓が出来にくいようにする働きがあるからです。

もし不調が歳のせいだと思っていても、実は血糖値が乱高下する食生活によって、インスリンの効きが悪くなっているのかもしれません。

日々の食事を見直し、糖質を取りすぎないようにしたいものです。

インスリンというと糖尿病との関連ばかりが注目されがちですが、もっと多くの人に気にかけてほしいと思います。

不老長寿の話になると、さまざまなキーワードが出てきます。

身体を浄化する「オートファジー」や、長寿遺伝子「サーチュイン」。あるいは命の回数券といわれる「テロメア」や、超善玉ホルモンといわれる「アディポネクチン」などなどです。

これらのキーワードは実は、たった1つのことに深く関係している、と言ったら驚くでしょうか?

その1つのこととは、「インスリン」です。

インスリンはドミノ倒しによって、不老長寿のさまざまなしくみを働かせる起点なのです。

インスリンが細胞の受容体にくっつくと、細胞内でリン酸化という、たんぱく質を変形させる指示がでて、それは次々と連鎖していきます。その過程で、オートファジーやサーチュインが活性化されます。

またアディポネクチンにはインスリンを助ける働きがありますし、テロメアが短くなると、インスリン抵抗性が高まる、という関係もあります。

インスリンと上手に付き合うことが、長生きの秘訣なのです。

血液検査
写真=iStock.com/Jacob Wackerhausen
長生きできるかどうかは血液検査でわかる(※写真はイメージです)

糖尿病は健康寿命を縮める

糖尿病は、さまざまな合併症のリスクがあるだけでなく、健康寿命にも悪影響があることで知られています。

たとえば網膜症や腎症、神経障害などの合併症。あるいは脳血管障害や動脈の疾患などが起こると、介護が必要になる可能性も大幅に上がります。

さらには認知症やがんも糖尿病によって起こりやすく、これらも健康寿命を縮めることにつながってきます。

しかし、悲観ばかりしている必要はありません。

なぜなら適切な治療をすれば、健常者と変わらない寿命をまっとうすることも可能だからです。

玉谷実智夫『医学的に正しい健康長寿365日』(自由国民社)
玉谷実智夫『医学的に正しい健康長寿365日』(自由国民社)

私のクリニックには、重度の糖尿病の方や若くして糖尿病になった人など、多くの患者さんが訪れます。

ですが熱心に治療に取り組めば、健康な人と変わらない日常生活を送れるようになる方もたくさんいるのです。

そのポイントはやはり、生活習慣。

食事と運動を基本として、必要に応じて薬も利用すれば、血糖値を適切な範囲に維持できます。

一度糖尿病と診断されても、健康寿命を縮めずに済むことも可能なのです。糖尿病になっても、いや、なったからこそ、ご長寿生活習慣を実践してほしいと思います。

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