約2億人の個人情報が盗み取られた
ミュトスの本当の脅威は、検知したシステム脆弱性をついたサイバー攻撃を、自律的に行う能力をもつことだ。さまざまな検証から、サイバー攻撃の9割程度はミュトスなどのAIで実行可能になっているといわれている。
これまでにも、AIが大規模なサーバー攻撃を行い、個人データ(パーソナル・データ)流出が起きた。一例に、2025年12月、メキシコ政府のデータが盗まれた。1億9500万人もの納税、住所などのデータが盗み取られたといわれている。具体的に、ハッカー集団は次の手法をとったとされる。
彼らは、攻撃のためにアンソロピックのクロードを使ったといわれている。まず、クロードでメキシコ政府、国家全体のネットシステムを偵察した。次に、クロードに脆弱な箇所を特定させた。攻撃箇所を定めると、Pythonベースの攻撃プログラミングコードを作成させた。クロードで不正ログインの試行を行い、最終的に膨大な個人データを盗み出した。
初期の段階でクロードは、違法性をユーザーに警告したという。しかし、ユーザーが無視すると、クロードはその後の指示(プロンプト)の通りに作動し、サイバー攻撃チームの一部として自律的に動作したといわれている。
『ターミネーター』のスカイネットが現実に
初期の段階で人間がサーバーへのアクセスを確立すれば、その後はAIがサイバー攻撃を仕掛ける世界が到来しているのである。わたしたちの生活にとって、インターネットは電気や水道と同じく、なくてはならないインフラだ。AIがそれを攻撃し、日常生活の安心、安全が脅かされたのである。
ミュトスは、クロード以上に多段階かつ大規模のサイバー攻撃能力を持つ。ミュトスが生活に与えるインパクトをイメージするためには、映画の『ターミネーター』を確認するとよい。
ターミネーターでは、“スカイネット”と呼ばれるAIの総体(コンピューター)が、自我に目覚める。人類は、スカイネットのスイッチを切ろうとする。スカイネットは、兵器を操作し、さらにはAIを搭載したロボット兵器やドローンを投入して人類に対抗する。戦闘は地球を巻き込んだ大規模なものに発展する。
ミュトスの出現で、そうした世界は近づいているともいえる。ミュトスは核兵器と同等の脅威との指摘があるのも頷ける。

