番組が映した2000年代の日本

当時人気になったもうひとつのリアリティショーとして、『¥マネーの虎』(日本テレビ系、2001年放送開始)がある。

「マネーの虎」と呼ばれる一代で成功した経営者たちを前に、一獲千金を狙う若者たちが、希望金額を掲げ自ら考えた事業計画をプレゼンする。その計画に見込みがあると思えば、マネーの虎は自腹で出資する。

だが現実を知るマネーの虎の目は当然ながら厳しく、簡単には出資しない。時には若者とマネーの虎の意見がぶつかり、一触即発となる。しかし、そんな張り詰めたリアルな空気感が魅力となり、マネーの虎の強烈なキャラクターも相まって人気になった。

2000年代になると、バブル崩壊以降の経済の停滞によって高度経済成長期以来の「一億総中流」の神話も崩れ始めていた。

憧れの対象であり、救いを求めていた

そして弱肉強食の競争社会の様相を呈するなか、切羽詰まった状況に置かれた人びとがテレビにも続々登場するようになる。『¥マネーの虎』はその象徴であり、細木数子の番組もまたそうだった。

『地獄に堕ちるわよ』のなかで、細木数子が自分をモデルにした小説を書くことになっている作家(伊藤沙莉)に、欲望とお金の関係を説く場面がある。

お金は欲望の対価として支払われるもの。欲望とは無限のものだ。だから欲望の奴隷にならずに主人になるためには、どれだけお金があっても困ることはない。そんな意味合いのことを細木は確信した態度で口にする。

劇中、細木数子がどん底に落ちながらも、大きな借金を抱えつつ自らのアイデアと努力で経済的成功を収める姿は、まさに『¥マネーの虎』に出てくる若者たちと同じだ。そんな浮き沈みを繰り返した細木の半生は、2000年代に日本人が味わった苦境を生き抜く術を先取りして示したものと言えなくもない。その限りでは、細木の番組の人気は必然だった。

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