キウイやバナナがコレステロール値の増加を抑制

食物繊維は、人間の体に消化・吸収されない成分ということで、その意味では、ビタミンやたんぱく質など、ほかの栄養成分のように消化・吸収されて力を発揮するものとは性質が根本的に異なります。

食物繊維が本格的に研究されるようになったのは、第二次世界大戦後のことです。従来は栄養のない食べ物のカスといわれ、栄養学的にあまり重要視されていませんでしたが、現在では、炭水化物、脂肪、たんぱく質、ビタミン、ミネラルに次ぐ第6の栄養素として位置づけられています。

食物繊維には、大きく分けて二つの種類があります。

水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶けやすい水溶性食物繊維です。糖尿病の新薬GIMMの主要成分であるβ–グルカンやイヌリンは、水溶性食物繊維に属しています。

まずは、この二つの食物繊維の特徴を整理しておきましょう。

◇不溶性食物繊維

穀類やいも類、豆類、根菜類に比較的多い。ほかに前述したキチン・キトサンなど。

特徴1 保水性が高い

・胃や腸で水分を吸収して大きく膨らむ

・腸を刺激して蠕動ぜんどう運動を活発にして排便を促す

特徴2 硬くて食べづらいものがある

・よく噛んで食べる

・満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを防ぐ

特徴3 大腸内で発酵する

・善玉菌が増加する

・大腸の環境がよくなる

(ただし、発酵性は水溶性食物繊維より小さい)

◇水溶性食物繊維

水に溶ける食物繊維。ペクチン(キウイやバナナ、柑橘類に多い)、アルギン酸(昆布、わかめなどの海藻類に多い)など。

特徴1 ネバネバしている

・水に溶けてゲル状となり、食べ物を包み込む

・ 食べたものがゆっくり消化吸収されるようになるため、腹持ちがよくなる。血糖値の急激な上昇を抑える

特徴2 吸着性がある

・コレステロールを吸着して、便と一緒に排出する

・コレステロール値の増加を抑制する

特徴3 大腸内で発酵する

・善玉菌が増加する

・大腸の環境がよくなる

不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は、どちらか一方だけとればいいというものではありません。それぞれをバランスよくとるのがポイントです。

バナナ、キウイスライスのボウル
写真=iStock.com/daffodilred
※写真はイメージです

二種類の食物繊維の理想的なバランス

私が長年、腸の不調を訴える患者さんを診てきた経験から導いた理想的なバランスは、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を2対1の割合でとることです。

書影
森豊、松生恒夫『血糖値は「腸」で下がる』(青春出版社)

このことは、2002年に日本食物繊維学会誌に、次のような実験に基づいて、論文として発表しました。

アロエやセンナなどが主成分のアントラキノン系下剤を長期間連用したために、大腸の内側の粘膜が変色する大腸メラノーシス(大腸黒皮症こくひしょう)の症状を認めた23例の慢性便秘症の人に対して、水溶性食物繊維の一種であるポリデキストロースを7g含有した健康飲料水100mlを30日間摂取してもらいました。

その結果、硬便を認めた20例中17例(85%)の人に便の性状の改善が認められました。また、下剤を常用した23例中14例(60.9%)で薬の減量が可能になりました。

つまり、ポリデキストロース(水溶性食物繊維)7gを30日間連続摂取することで、症状の緩和やQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の改善が可能であることが明らかになったのです。

長年にわたって慢性便秘の患者さんの食事指導を行ってきた経験から、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の摂取量は、おおよそ2対1の割合が効果的であると考えていました。

そこで、日本人の食物繊維摂取量の平均が14~15g前後(その多くは不溶性食物繊維)であることから、この実験では患者さんに水溶性食物繊維の一種であるポリデキストロース7gを摂取してもらい、不溶性食物繊維2対水溶性食物繊維1の割合に近づけたわけです。

実験の結果、「不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の割合は2対1」が理想の割合であることが証明された形となりました。

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