六角や朝倉の配下のままだったら…

そう、問題なのはここである。婚姻同盟を結んでしまった以上、いまさら「信長殿、どうか配下にお加えください」とはいえない。

このまま対等の看板を掲げ続けても、未来は見えている。やがて織田家の親戚として組み込まれ、有名無実の存在になり、軍団のコマとして使われ、いずれは領地も奪われていくかもしれない。

もしも、六角や朝倉の配下のままだったら、まだ手はあった。「うちの主君は弱い、向こうにめっちゃ強いヤツがいる、よし配下を乗り換えよう」。これがそもそも久政の戦略であり、戦国の中堅クラスの大名・国人にとってのスタンダードな生存術であった。ところが、信長との同盟で結婚……それも、家臣の娘とかならまだしも、妹を娶ったものだから、今さら頭も下げれない。こうなると、打開策は裏切りしかなくなってしまう。

致命傷になった「親子関係の悪さ」

信長との裏切りを久政が主導したかは定かではないが、選択肢がこれしかなくなっていたのは事実だろう。なにより、浅井が裏切った時点では信長とて完全無敵の強者ではなく、まだ浅井氏も活路を見いだせたからだ。なにしろ、朝倉だけでなく、本願寺に比叡山と共に信長と戦う者がたくさんいたからだ。

こうしてみると、浅井氏の失敗はなんだろう。やっぱり、親子関係の悪さだったのではないだろうか。

浅井長政自刃之地、小谷城跡内
浅井長政自刃之地、小谷城跡内(写真=shikabane taro/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons
【関連記事】
【写真をみる】現在の小谷城(実物)
最期まで兄・織田信長の"操り人形"だったけれど…悲劇のヒロイン・お市が「唯一自分で下した」史料に残る決断
だから「秀吉の天下」は1代限りで終わった…織田、徳川とは全然違う「豊臣家」だけが抱えていた致命的な欠陥【2026年1月BEST】
NHK大河ではとても放送できない…宣教師に「獣より劣ったもの」と書かれた豊臣秀吉のおぞましき性欲
油断した延暦寺でも、激怒した信長でもない…比叡山焼き討ちで「最も損な役回り」を強いられた戦国武将の名前