秋田の猟師が語った「幻の珍味」の実情
都内の地下鉄銀座線・末広町駅に程近い「創作アジアン 琥珀」は上海料理や広東料理が人気の中華だ。同店の経営者、祁倩さんも「熊の手料理を提供しています。予約が必要で、だいたい20万円くらい」という。予約が入るのは1年に数回と多くはないが、見栄えがよく、祝い事などのメイン料理として中国人富裕層の間で需要があるそうだ。同店では同じく高級食材のアワビと一緒に煮込んだ特別料理(=写真)として提供している。
鐘さんによると、熊の手は知人を介して北海道や東北地方の猟師から購入する。具体的な入手ルートを聞けなかったが、熊が出没することが増えている秋田県に住む日本人の友人に聞いてみたところ、秋田県のJR田沢湖駅近くにある物産館「田沢湖 市」(仙北市)には熊肉の自動販売機があるという。そこでは熊肉が250グラム、2200円で販売されている。地元の猟友会のメンバーが市内で捕獲し、食肉処理施設で加工したもので、よく売れているようだという。
物産館からの紹介で、仙北市の猟友会に所属する猟師に電話で話を聞いてみた。
熊肉については「東京ほか全国の食品会社から多くの問い合わせがあります。レストランには直接販売せず、ある程度の量がたまったら(卸)業者に送っていますが、全然足りない状態です。(モモやロース以外に)熊の手の注文もあって、おそらく中国人からだと思いますが、詳しいことはわかりませんね」という。
ネットで「熊の手」や「熊肉」と検索すると、多数の販売サイトや調理法、熊肉が食べられる飲食店の情報がヒットする。SNSの評判を読むと、熊の手は煮込み料理が多いので、ゼラチン質でこってりしているそうだ。東京のガチ中華料理店で提供される「熊掌」はかなり高価だが、在日中国人の富裕層の間では「日本でしか食べられない高級食材」として密かに珍重されている。



