ポジションを即理解、役割を完璧にこなした男
誤解してはならない。義昭は現状認識ができなくなっているわけではない。この男は、与えられたポジションを瞬時に理解して、その役割を完璧にこなす能力に特化していたのである。
現代のビジネスの場でも、こういう人物がいる。今日は自分が主役として場を引っ張り、明日は後輩を立てるために一歩引く。上司の前では従順に、取引先の前では堂々と。「立ち位置」をフレキシブルに切り替えられる人間だ。
義昭はまさにそれだった。自分が将軍を狙う候補者となれば、脱出一週間後でも完璧な将軍書式で「任せた」と書く。追放された将軍としての立ち位置になれば、追放3カ月後でも「来春義兵決行」と堂々と書く。どちらの局面でも、そのポジションに求められる振る舞いを迷わず実行している。
だからこそ、晩年の義昭の身の処し方も腑に落ちる。秀吉に召されると、義昭は平然と出仕した。長年の宿敵・信長の後継者である秀吉のもとに、である。かつての将軍が、である。傍から見れば屈辱以外の何物でもない。ところが義昭には、おそらくそういう感覚がなかった。
本人の心境を想像するとこうなる。
「あ、将軍役は終わりましたか。次は御伽衆ですね、わかりました」
いや、もしかすると心の中ではこう思っていたかもしれない。
「別当になるかと思ったら将軍をやって、今度は、猿にへーこらして1万石もらってるんだぜ。俺ってすごいだろ……なあ藤孝」
なんとも、義昭からは学ぶべき歴史の教訓が多い。
[ 第10回 初登場 ]
— 大河ドラマ「豊臣兄弟!」2026年1月4日放送開始 (@nhk_toyotomi) March 12, 2026
室町幕府最後の将軍
足利義昭(あしかが よしあき) / #尾上右近
信長はついに美濃を攻略。
そんな中、足利義昭の使いとして明智光秀が信長を訪ねてくる…
第10回「信長上洛」
3月15日(日)[総合]夜8:00ほか
お楽しみに#豊臣兄弟 #大河ドラマ pic.twitter.com/paBjxqHfYS

